上腸間膜動脈症候群

概要

上腸間膜動脈症候群は、上腸間膜動脈と腹部大動脈に挟まれた十二指腸(特に第3部)が圧迫されることで、消化管通過障害を生じる疾患である。著明な体重減少や急激な痩せ、解剖学的異常などが発症に関与する。若年女性に多く、食後の腹痛や嘔吐を呈することが特徴。

要点

  • 十二指腸の第3部が上腸間膜動脈と大動脈の間で圧迫される
  • 急激な体重減少や痩せが主なリスク因子
  • 食後の腹痛や嘔吐など上部消化管症状を呈する

病態・原因

急激な体重減少や痩せ、先天的な腸間膜の短縮、後腹膜腫瘍などにより、上腸間膜動脈と腹部大動脈の間隙が狭くなり、そこを通過する十二指腸第3部が圧迫される。結果として通過障害が生じ、消化管症状が発現する。

主症状・身体所見

主な症状は食後の腹痛、悪心、嘔吐、膨満感などであり、体位変換(膝胸位や側臥位)で症状が軽減することがある。長期化すると体重減少や脱水、電解質異常を伴うこともある。

検査・診断

検査所見補足
上部消化管造影十二指腸第3部の狭窄と近位腸管の拡張狭窄部位の急峻な変化が典型的
腹部CT/MRI上腸間膜動脈と大動脈の間隙狭小化、十二指腸の狭窄角度(通常45°→22°以下)、距離(通常10-28mm→8mm以下)の短縮
超音波検査十二指腸拡張、血管の走行異常補助的診断法

診断は画像検査による十二指腸第3部の圧迫・狭窄所見と臨床症状の組み合わせで行う。腹部CTで上腸間膜動脈と大動脈の角度・距離の短縮が重要な所見となる。

治療

  • 第一選択:保存的治療(高カロリー輸液、体位調整、栄養管理)
  • 補助療法:経腸栄養、電解質補正、必要に応じて経鼻胃管減圧
  • 注意点:重症例や保存的治療無効例では手術(十二指腸空腸吻合術など)を考慮

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性腸間膜動脈閉塞症急激な激痛・ショック症状・血便造影CTで血流遮断像、腸管壁の変化
絞扼性イレウス腸閉塞症状・手術歴・腹部手術瘢痕腸管の拡張・ニボー形成、閉塞部位の明瞭な変化
機能性ディスペプシア機能性症状中心・画像で異常なし画像検査で器質的狭窄なし

補足事項

体重減少や摂食障害患者で発症リスクが高く、精神疾患や悪性腫瘍に伴う場合もある。早期診断・治療が予後改善に重要であり、保存的治療で改善しない場合は外科的介入を検討する。

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