三心房心

概要

三心房心(cor triatriatum)は、左心房または右心房内に異常な膜状構造が形成され、心房が2室に分割されることで実質的に心房が3つ存在するように見える先天性心疾患。血流障害の程度は膜の開口部の大きさによって異なり、無症状から重篤な心不全まで多彩な臨床像を示す。

要点

  • 左心房型(cor triatriatum sinister)が大多数を占める
  • 小児期に重症例は心不全症状で発症
  • 診断・治療には心エコーが重要

病態・原因

胎生期の肺静脈総幹が左心房に取り込まれる過程の異常により、心房内に膜状構造が遺残することで発症する。膜の開口部が狭い場合、肺静脈還流障害や肺高血圧、心不全を引き起こす。右心房型は稀である。

主症状・身体所見

新生児や乳児では呼吸困難、哺乳不良、発育不良などの心不全症状が出現しやすい。膜の開口部が広い場合は無症状のこともあり、成人まで発見されないこともある。身体所見では心雑音やチアノーゼ、肺うっ血徴候を認めることがある。

検査・診断

検査所見補足
心エコー心房内膜状構造、血流障害診断の第一選択、ドプラーで血流評価
心臓カテーテル検査心房間圧較差、肺高血圧他疾患との鑑別や重症度評価
胸部X線肺うっ血、心拡大間接所見として参考

心エコーで心房内の膜状構造と血流障害を確認することが診断の決め手となる。カテーテル検査で圧較差や肺高血圧の有無を評価する。CTやMRIで詳細な解剖評価も有用。

治療

  • 第一選択:外科的膜切除術
  • 補助療法:心不全症状に対する薬物治療(利尿薬、強心薬など)
  • 注意点:未治療例では重篤な心不全や肺高血圧に進展するため早期治療が重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
心房中隔欠損症心房中隔の欠損、シャント血流心房間の直接的交通、膜状構造なし
総肺静脈還流異常症肺静脈が右心系へ還流肺静脈の還流経路異常、心房膜構造なし
房室中隔欠損症房室弁の異常、心房・心室中隔欠損房室弁形態異常、膜状構造なし

補足事項

三心房心は極めて稀な先天性心疾患であり、膜の開口部の大きさによって臨床経過が大きく異なる。成人で偶然発見される例もあるが、小児期に重篤な心不全で発症することが多い。外科的治療成績は良好である。

関連疾患