リーシュマニア症
概要
リーシュマニア症はリーシュマニア属原虫による寄生虫感染症で、皮膚型・粘膜型・内臓型の臨床型に分かれる。主に吸血性サシチョウバエによって媒介され、熱帯・亜熱帯地域に多い。内臓型はカラ・アザールとも呼ばれ、重篤化することがある。
要点
- サシチョウバエ媒介の寄生虫感染症
- 皮膚・粘膜・内臓型の臨床型が存在
- 内臓型は致死的経過をとることがある
病態・原因
リーシュマニア属原虫がサシチョウバエによりヒトに感染し、宿主内でマクロファージに寄生・増殖する。発症型は感染原虫種や宿主免疫状態によって異なる。内臓型は特に免疫不全者で重症化しやすい。
主症状・身体所見
皮膚リーシュマニア症では無痛性の皮膚潰瘍や結節がみられる。粘膜型では鼻咽頭粘膜の病変が特徴的。内臓型では発熱、体重減少、脾腫、肝腫、貧血、白血球減少など全身症状が顕著となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚・骨髄・脾臓生検 | 原虫の検出 | ギムザ染色で観察 |
| 血清学的検査 | 抗リーシュマニア抗体陽性 | ELISA等 |
| PCR | 原虫DNA検出 | 高感度 |
生検組織や穿刺液で原虫の直接証明が確定診断となる。内臓型では血液・骨髄塗抹、PCR、血清抗体検査が有用。画像検査では脾腫・肝腫を認めることが多い。
治療
- 第一選択:アンチモン製剤(メグルミンアンチモネート)またはリポソーマルアムホテリシンB
- 補助療法:支持療法、貧血・感染症の管理
- 注意点:治療抵抗例や再発例では薬剤選択や投与期間の調整が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アメーバ赤痢 | 血便・肝膿瘍を伴うことが多い | 原虫の形態や血清検査 |
| マラリア | 発熱周期性・脾腫・旅行歴 | 血液塗抹でマラリア原虫 |
補足事項
リーシュマニア症は世界的には重要な熱帯病のひとつであり、HIV感染者や免疫抑制患者では非典型的な経過をとることがある。日本国内での発生は稀だが、輸入感染症として注意が必要。