リンパ管腫
概要
リンパ管腫はリンパ管系の発生異常により生じる良性腫瘍で、主に小児期に発見される。頸部や顔面、口腔内などに好発し、進行すると周囲組織を圧迫することがある。多くは無症状だが、感染や出血を契機に急速に増大することがある。
要点
- 主に小児期に発症し、頸部や顔面に多い良性腫瘍
- 無症状だが感染や出血で急速増大することがある
- 治療は外科的切除や硬化療法が主体
病態・原因
胎生期のリンパ管の発生異常やリンパ管の閉塞・拡張により、異常なリンパ管網が形成されることで発症する。多くは先天性であり、遺伝的素因や環境要因は明確でない。
主症状・身体所見
無痛性で柔らかい腫瘤として触知され、皮膚の下に青紫色調を呈することがある。頸部や顔面、口腔内、腋窩などに好発し、呼吸困難や嚥下障害を呈することもある。感染や出血を契機に腫瘤が急速に増大する場合がある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 超音波検査 | 内部に液体成分を含む多房性嚢胞構造 | 非侵襲的で小児にも施行しやすい |
| MRI | T2強調像で高信号を示す嚢胞性病変 | 病変の範囲や周囲組織との関係を評価 |
| CT | 低吸収域として嚢胞性病変を認める | 骨浸潤や深部への進展評価に有用 |
診断は画像所見に加え、臨床的特徴・発症年齢・部位などを総合して行う。MRIは病変の広がりや手術計画に特に有用である。
治療
- 第一選択:外科的切除または硬化療法(ピシバニール、OK-432など)
- 補助療法:感染時の抗菌薬投与、気道管理、対症療法
- 注意点:再発率が高く、重要臓器近傍では慎重な治療選択が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 血管腫 | 皮膚表面の発赤・増殖傾向が強い | 超音波で血流増加、MRIで造影効果あり |
| 頸部嚢胞性疾患 | 先天性嚢胞で頸部に発生、炎症反復あり | 画像で単房性嚢胞や甲状腺との連続性 |
| リンパ節腫脹 | 感染や悪性疾患に伴う腫大、可動性あり | 超音波で実質性腫大、血流増加を認める |
補足事項
再発や残存病変が問題となることが多く、治療方針は病変の部位や広がり、患者年齢を考慮して個別に決定する。近年は硬化療法の適応拡大や低侵襲治療の進歩がみられる。