リポイド肺炎
概要
リポイド肺炎は、肺に脂質が沈着することで生じる非感染性の肺炎であり、外因性と内因性に分類される。外因性は鉱油や動植物油の吸引・誤嚥が主な原因で、内因性は気道閉塞などに伴う脂質の漏出が関与する。慢性的な経過をたどることが多く、診断には画像と病理が重要となる。
要点
- 肺実質に脂質が蓄積し炎症を生じる疾患
- 外因性は油分の吸引・誤嚥が原因
- 慢性経過が多く、診断には画像・病理所見が重要
病態・原因
リポイド肺炎は、外因性(鉱油・ミネラルオイル・動植物油の誤嚥や吸引)と内因性(気道閉塞などによる肺胞内脂質の漏出)に分類される。外因性は高齢者や嚥下障害患者に多い。内因性は腫瘍や慢性炎症による気道閉塞が主な背景となる。
主症状・身体所見
慢性の咳嗽、喀痰、呼吸困難が主症状で、発熱や体重減少を伴うこともある。身体所見ではラ音や呼吸音減弱などがみられる場合があるが、無症状で偶然発見されることも少なくない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部CT | すりガラス影、区域性浸潤影、脂肪濃度域 | 低吸収域(脂肪値)を伴う |
| 気管支肺胞洗浄液 | 脂質封入マクロファージの出現 | Sudan染色で脂質証明 |
| 病理組織検査 | 脂質を含む泡沫状マクロファージ、慢性炎症細胞浸潤 | 診断の決め手となる |
画像では浸潤影やすりガラス影、脂肪濃度域が特徴的で、CT値が低値を示す。気管支肺胞洗浄や生検で脂質封入マクロファージの存在が診断に重要。鑑別には感染症や腫瘍性病変を除外する必要がある。
治療
- 第一選択:原因物質の除去・曝露中止
- 補助療法:対症療法、二次感染時は抗菌薬投与
- 注意点:ステロイドは重症例や進行例で慎重に検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 細菌性肺炎 | 急性発症・発熱・膿性痰 | 細菌検出・炎症反応強い |
| 間質性肺炎 | びまん性・両側性陰影 | 脂肪沈着なく、HRCTで蜂巣肺等 |
| 肺結核 | 空洞形成・慢性経過 | 抗酸菌検出・結核特有の画像所見 |
補足事項
小児や高齢者、嚥下障害患者では特に外因性リポイド肺炎のリスクが高い。慢性経過例では二次感染や線維化への進展に注意が必要。診断には患者背景や生活歴の聴取も重要である。