リステリア症
概要
リステリア症はListeria monocytogenesによる細菌感染症で、食品を介して経口感染する。免疫不全者や高齢者、妊婦、新生児で重症化しやすく、中枢神経症状や敗血症を呈することがある。
要点
- 食品媒介性の日和見感染症である
- 髄膜炎や敗血症など重篤な経過をとることがある
- 免疫抑制状態や妊婦、新生児で特に注意が必要
病態・原因
リステリア症はグラム陽性桿菌Listeria monocytogenesによる感染で、主に非加熱の乳製品や加工肉、野菜などを介して経口的に感染する。健常者では軽症だが、免疫不全者や高齢者、妊婦、新生児では菌血症や中枢神経感染を引き起こす。
主症状・身体所見
発熱、筋肉痛、悪寒などインフルエンザ様症状が多いが、重症例では髄膜炎、脳炎、敗血症を生じる。妊婦では流産や胎児感染、新生児では敗血症や髄膜炎がみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液培養 | Listeria monocytogenes検出 | 菌血症例で有用 |
| 髄液検査 | 髄液細胞増多・糖低下 | 髄膜炎例で実施 |
| グラム染色 | グラム陽性桿菌 | 髄液・血液などから |
確定診断は血液や髄液からの菌の分離・同定による。髄液検査では細胞数増多、蛋白上昇、糖低下がみられる。画像検査で脳炎・膿瘍の評価を行う場合もある。
治療
- 第一選択:アンピシリン単独またはゲンタマイシン併用
- 補助療法:支持療法、症状に応じた対症療法
- 注意点:セフェム系抗菌薬は無効、免疫不全者や妊婦では早期治療が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 細菌性髄膜炎 | 好中球優位、発症急性 | 髄液グラム陽性・陰性球菌/桿菌 |
| ウイルス性髄膜炎 | 無菌性、発症比較的緩徐 | 髄液ウイルスPCR陽性 |
補足事項
リステリアは冷蔵温度でも増殖可能なため、食品衛生管理が重要である。妊婦や免疫低下者は非加熱食品の摂取を避けるべきとされる。