ライム病
概要
ライム病はスピロヘータの一種Borrelia属による感染症で、ダニ媒介性疾患の代表格である。皮膚症状を初発とし、進行すると神経系や関節、心臓など多臓器に障害を及ぼす。欧米で多く、日本では稀だが報告例もある。
要点
- ダニ刺咬を介してBorrelia属細菌が感染
- 初期は遊走性紅斑、進行で神経・関節・心症状
- 早期診断と抗菌薬治療が重要
病態・原因
主な原因はマダニによる刺咬で、体内にBorrelia burgdorferiなどのスピロヘータが侵入する。菌は皮膚から血行性に全身へ波及し、免疫反応や炎症を惹起する。野生動物が自然宿主となる。
主症状・身体所見
初発症状は刺咬部位を中心に拡大する遊走性紅斑(erythema migrans)で、インフルエンザ様症状(発熱・筋肉痛・頭痛)を伴う。進行例では神経障害(顔面神経麻痺、髄膜炎)、関節炎、心伝導障害など多彩な臓器障害がみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 抗Borrelia抗体検査 | IgM/IgG抗体陽性 | 2段階法(ELISA→Western blot) |
| 血液検査 | 炎症反応上昇、白血球増多など | 非特異的 |
| 皮膚生検 | スピロヘータの検出 | PCR法や染色 |
診断は臨床経過と流行地での曝露歴、特徴的皮疹、抗体検査を組み合わせて行う。画像診断(MRI等)は神経症状出現時に補助的に用いる。
治療
- 第一選択:ドキシサイクリンなどのテトラサイクリン系抗菌薬
- 補助療法:症状に応じた鎮痛、抗炎症薬、リハビリテーション
- 注意点:治療開始の遅れによる慢性化・後遺症に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 梅毒 | 進行性皮疹・神経症状 | 梅毒血清反応陽性 |
| 猩紅熱 | 発熱・全身紅斑・咽頭炎 | A群溶連菌迅速検査陽性 |
| 蜂窩織炎 | 局所限局性の発赤・腫脹・疼痛 | 細菌培養で溶連菌・ブドウ球菌 |
補足事項
日本では発症例は少ないが、海外旅行や野外活動歴のある患者では鑑別に挙げる。ワクチンは存在しないため、ダニ刺咬予防が重要である。