ベル麻痺
概要
ベル麻痺は特発性の末梢性顔面神経麻痺であり、突然発症する一側性顔面筋の運動障害を特徴とする。多くはウイルス感染や免疫異常が関与すると考えられ、発症後数週間で自然回復する例も多い。
要点
- 急性発症の片側性顔面神経麻痺が主徴
- 原因不明(特発性)だがウイルス感染が示唆される
- 大部分は予後良好で自然回復傾向
病態・原因
顔面神経(第VII脳神経)の炎症や浮腫により、神経伝導が障害されることで発症する。単純ヘルペスウイルスや帯状疱疹ウイルスの再活性化、自己免疫反応などがリスク因子とされる。
主症状・身体所見
突然の一側性顔面筋麻痺(額を含む)、口角下垂、閉眼困難、味覚障害、流涙や流涎がみられる。聴覚過敏や耳後部痛を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 神経学的診察 | 顔面筋の運動麻痺 | 額・口角ともに障害(中枢性との鑑別) |
| 画像検査(MRI) | 顔面神経の腫脹・造影効果 | 他疾患(腫瘍・脳卒中)除外目的 |
| 血液検査 | ウイルス抗体価上昇例あり | 特異的検査所見は乏しい |
臨床症状と神経学的診察で診断する。原因検索や鑑別のためMRI等の画像検査を行う。中枢性麻痺や他の顔面神経障害との鑑別が重要。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド全身投与
- 補助療法:抗ウイルス薬(重症例や帯状疱疹疑い時)、顔面リハビリテーション
- 注意点:眼の乾燥予防(点眼・眼帯)、重症例は早期治療が予後改善
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Ramsay-Hunt症候群 | 水疱・耳痛・帯状疱疹ウイルス感染 | 耳介・口腔内水疱、ウイルス抗体価上昇 |
| 脳卒中 | 額の筋は麻痺しない(中枢性) | 画像検査で脳梗塞・出血を確認 |
補足事項
発症後72時間以内のステロイド投与が最も有効とされる。完全回復しない例もあり、後遺症(顔面拘縮・異常共同運動)が残ることがある。