ヘルパンギーナ
概要
ヘルパンギーナは主に小児に発症するエンテロウイルス(コクサッキーウイルスA群など)による急性ウイルス性咽頭炎である。夏季に流行し、口腔内の水疱性発疹と急性発熱が特徴である。通常は予後良好だが、まれに重症化や合併症をきたす。
要点
- 夏季に流行する小児中心のウイルス感染症
- 口腔内の水疱・潰瘍と急性発熱が主症状
- 対症療法が中心で多くは自然軽快
病態・原因
主な原因はコクサッキーウイルスA群などのエンテロウイルス属で、飛沫感染や経口感染により伝播する。ウイルスは咽頭粘膜に感染し、局所の炎症や水疱形成を引き起こす。
主症状・身体所見
突然の高熱と咽頭痛が主症状で、軟口蓋や口蓋垂周囲に小水疱や潰瘍が多発する。嚥下痛や食欲低下、時に嘔吐や全身倦怠感もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 咽頭所見 | 軟口蓋・口蓋垂周囲の小水疱・潰瘍 | 臨床診断の決め手 |
| ウイルス迅速検査 | コクサッキーウイルス抗原検出 | 必須ではないが参考 |
典型的な臨床症状と咽頭所見から診断される。必要に応じてウイルス分離やPCR検査を行うが、日常診療では行われないことが多い。血液検査は特異的所見に乏しい。
治療
- 第一選択:対症療法(解熱・鎮痛、十分な水分補給)
- 補助療法:安静、必要時点滴
- 注意点:脱水予防、二次感染や合併症に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 手足口病 | 口腔内病変+手足の発疹 | 四肢末端の水疱性発疹 |
| 急性扁桃炎 | 扁桃腫大・白苔、全身症状強いことも | 扁桃部の発赤・膿性分泌物 |
補足事項
成人例は稀だが重症化しやすいことがある。まれに無菌性髄膜炎などの合併症をきたすため、経過観察も重要。ワクチンや特効薬は存在しない。