ケトン性低血糖症
概要
ケトン性低血糖症は、主に幼児期にみられる反復性低血糖症であり、絶食や感染などのストレス時に発症する。肝臓の糖新生やグリコーゲン分解能の未熟さが背景にあり、ケトーシスを伴うのが特徴である。多くは成長とともに自然軽快する。
要点
- 幼児期に多い反復性低血糖症でケトーシスを伴う
- 絶食や感染などのストレス時に発症しやすい
- 成長とともに自然軽快することが多い
病態・原因
肝臓の糖新生やグリコーゲン分解能が未熟な幼児において、絶食などにより血糖維持が困難となり発症する。インスリン分泌は抑制されるが、糖新生の遅れからケトン体産生が亢進する。遺伝的素因や体質も関与する。
主症状・身体所見
空腹時や夜間・早朝に、嘔吐、傾眠、易刺激性、けいれんなどの低血糖症状が出現する。発作時には呼気・尿中ケトン体が陽性となる。成長障害は通常みられない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血糖値 | 低値 | 発作時に測定が重要 |
| ケトン体 | 血中・尿中で高値 | ケトーシスの確認 |
| 血清インスリン | 低値〜正常 | 高インスリン血症は否定的 |
発作時の低血糖とケトーシスの確認が診断の基本となる。糖新生や脂肪酸代謝異常の除外が必要であり、成長や発達の遅延がないことも参考となる。
治療
- 第一選択:十分な糖分摂取(夜間・空腹時の間食指導)
- 補助療法:感染時や絶食時の早期ブドウ糖投与
- 注意点:長時間の絶食を避ける、低血糖発作の早期対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| インスリノーマ | 高インスリン血症、ケトーシスなし | インスリン高値 |
| 糖原病Ⅰ型 | 乳児期からの低血糖・肝腫大 | 乳酸・尿酸・脂質異常 |
| アセトン血性嘔吐症 | 嘔吐が主、低血糖は軽度〜なし | 血糖は低下しにくい |
補足事項
多くは学童期以降に自然軽快するが、重症例や頻回発作例では精査が必要となる。低血糖による神経学的後遺症を防ぐため、家族への教育が重要である。