グルカゴノーマ
概要
グルカゴノーマは膵臓のα細胞由来の神経内分泌腫瘍で、過剰なグルカゴン分泌により特徴的な症候群を呈する。主に糖尿病様症状、皮膚症状(壊死性遊走性紅斑)、体重減少などがみられる。比較的稀な腫瘍であり、診断時には進行例も多い。
要点
- 膵臓α細胞由来の神経内分泌腫瘍
- 壊死性遊走性紅斑と耐糖能異常が特徴
- しばしば進行例で発見される
病態・原因
膵臓のα細胞から発生する神経内分泌腫瘍で、過剰なグルカゴン分泌が全身症状の原因となる。グルカゴンの過剰作用により糖新生や脂肪分解が亢進し、高血糖や体重減少を引き起こす。多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)との関連も指摘される。
主症状・身体所見
代表的な症状は耐糖能異常による糖尿病、特徴的な皮膚症状である壊死性遊走性紅斑、口内炎、体重減少である。その他、貧血、下痢、精神症状などもみられることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中グルカゴン値 | 著明な上昇 | 500pg/mL以上で診断的 |
| 画像検査(CT/MRI) | 膵腫瘍性病変 | 肝転移の有無も評価 |
| 皮膚生検 | 壊死性遊走性紅斑 | 特徴的な組織像 |
血中グルカゴンの著明な上昇と特徴的な皮膚症状が診断の鍵となる。CTやMRIで膵腫瘍を確認し、転移の有無を評価する。組織学的に神経内分泌腫瘍であることを確認する。
治療
- 第一選択:外科的切除(可能な場合)
- 補助療法:ソマトスタチンアナログ、化学療法、対症療法
- 注意点:転移例では根治困難なことが多く、症状緩和や生活の質維持も重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| インスリノーマ | 低血糖発作が主症状 | インスリン高値・グルカゴン正常 |
| Zollinger-Ellison症候群 | 難治性消化性潰瘍・下痢 | ガストリン高値・グルカゴン正常 |
補足事項
グルカゴノーマ症候群は比較的稀だが、壊死性遊走性紅斑の存在が診断の手がかりとなる。糖尿病や皮膚症状が難治性の場合は本疾患を念頭に置く。