キノコ中毒
概要
キノコ中毒は有毒キノコの摂取により発症する中毒症候群で、消化器症状から神経症状、重篤な場合は肝・腎障害まで多彩な臨床像を呈する。原因となる毒素や種によって発症時間や症状が異なる。国内外で季節性に発生し、鑑別・対症療法が重要となる。
要点
- 有毒キノコ摂取により多彩な中毒症状を呈する
- 発症時期・症状は毒素の種類により異なる
- 重症例では肝不全や腎不全をきたすことがある
病態・原因
毒キノコに含まれる各種毒素(アマトキシン、ムスカリン、イボテン酸など)が消化管吸収後、臓器に障害を与える。誤食や自己採取による摂取が主なリスク因子で、毒素の種類により作用部位や重症度が異なる。
主症状・身体所見
嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が多いが、神経症状(幻覚、けいれん)、コリン作動性症状(流涎、縮瞳)、遅発性の肝・腎障害など多様な症状がみられる。発症時間や症状の組み合わせが鑑別の手がかりとなる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液生化学検査 | 肝酵素・腎機能障害、電解質異常 | 重症例で肝・腎障害を評価 |
| 尿検査 | ミオグロビン尿、蛋白尿など | 横紋筋融解や腎障害の評価 |
| 毒素同定(専門検査) | 特定毒素の検出 | 限定的、臨床症状で診断が主 |
毒キノコ摂取歴、発症時期、症状の組み合わせから臨床診断を行う。毒素の特異的検査は限られるため、病歴聴取と症候経過が診断の鍵となる。
治療
- 第一選択:胃洗浄・活性炭投与(早期)、支持療法
- 補助療法:輸液、電解質補正、必要時肝・腎補助療法
- 注意点:早期対応が予後を左右、毒素特異的治療は限られる
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| ブドウ球菌性食中毒 | 急性発症の嘔吐・腹痛が主体 | 細菌毒素検出、肝障害なし |
| アニサキス | 急性腹痛・蕁麻疹様症状 | 内視鏡・虫体検出 |
補足事項
毒キノコの種類によっては死亡率が高く、誤食防止の啓発が重要である。重症例では肝移植が検討される場合もある。地域や季節により流行するキノコが異なるため、流行情報の把握も有用。