アルコール性肝硬変
概要
アルコール性肝硬変は、長期にわたる過剰なアルコール摂取によって肝臓に慢性炎症と線維化が生じ、肝組織が硬化・変性する疾患。肝機能障害や門脈圧亢進症、肝細胞癌のリスクが高まる。日本では肝硬変の主要な原因の一つであり、社会的・医療的に重要な疾患である。
要点
- 長期間の多量飲酒が主因となる進行性肝疾患
- 黄疸や腹水、出血傾向など多彩な臨床症状
- 禁酒と適切な支持療法が予後改善の鍵
病態・原因
主な原因は長期間にわたる多量のアルコール摂取であり、肝細胞障害と炎症、線維化が進展する。遺伝的素因や栄養障害、併存するウイルス性肝炎の影響も発症リスクを高める。
主症状・身体所見
初期は無症状のことも多いが、進行すると全身倦怠感、黄疸、腹水、浮腫、食道静脈瘤出血、手掌紅斑、クモ状血管腫、女性化乳房などがみられる。肝性脳症や出血傾向も重篤な合併症である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 肝機能検査 | AST/ALT比上昇、γ-GTP高値 | 進行例でAlb, ChE低下 |
| 腹部超音波 | 肝表面の凹凸、肝萎縮、脾腫 | 腹水や側副血行も評価可能 |
| 腹部CT/MRI | 肝の再生結節、萎縮、脾腫 | 肝腫瘍の合併も検索 |
診断は飲酒歴と臨床症状、肝機能異常、画像所見から総合的に行う。肝生検で線維化や偽小葉形成を確認することで確定診断となる。門脈圧亢進症や肝細胞癌の合併にも注意が必要。
治療
- 第一選択:禁酒の徹底と栄養管理
- 補助療法:利尿薬による腹水コントロール、肝性脳症対策、ビタミン補充
- 注意点:肝細胞癌や消化管出血の定期的スクリーニング、感染症予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| ウイルス性肝炎由来肝硬変 | ウイルス感染の既往・血清マーカー | HBs抗原・HCV抗体陽性など |
| 非アルコール性脂肪性肝炎 | 肥満・糖尿病・飲酒歴なし | ALT優位・画像で脂肪肝強い |
補足事項
アルコール性肝硬変は禁酒による進行抑制が最重要であり、社会的支援やアルコール依存症治療の併用も推奨される。肝移植が適応となる場合もある。近年は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)との鑑別が重要となっている。