うっ血性肝硬変
概要
うっ血性肝硬変は、主に右心不全などによる肝静脈うっ滞を背景に発症する肝硬変である。肝臓の慢性的なうっ血により線維化が進行し、肝機能障害や門脈圧亢進症をきたす。心疾患の治療と並行して肝病態の管理が重要となる。
要点
- 右心不全などによる肝静脈うっ滞が主因
- 肝線維化と肝機能障害が進行
- 心疾患管理と肝合併症対応が必要
病態・原因
うっ血性肝硬変は、主に慢性右心不全や三尖弁疾患などによる肝静脈のうっ滞が長期間持続することで発症する。肝臓内の血流停滞と低酸素状態が持続し、肝細胞壊死と線維化が進行する。
主症状・身体所見
腹部膨満、下腿浮腫、黄疸、易疲労感がみられる。肝腫大や圧痛、腹水、脾腫、時にクモ状血管腫や手掌紅斑も認める。心不全症状(頸静脈怒張、呼吸困難など)を伴うことが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部超音波 | 肝腫大・肝表面不整・下大静脈拡張 | うっ血像や線維化を評価 |
| 肝機能検査 | AST/ALT上昇、ビリルビン増加、アルブミン低下 | 肝障害・合併症の把握 |
| 心エコー | 右心系拡大・三尖弁逆流 | 原因心疾患の評価 |
肝生検で中心静脈周囲の線維化やうっ血所見が診断的。画像では肝腫大、下大静脈・肝静脈の拡張、腹水などが認められる。心疾患の存在も診断の手がかりとなる。
治療
- 第一選択:心不全の治療(利尿薬、降圧薬、原因疾患への外科的治療など)
- 補助療法:肝保護療法、栄養管理、腹水や浮腫への対症療法
- 注意点:肝機能低下時の薬剤投与量調整、感染予防、肝性脳症の早期発見
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アルコール性肝硬変 | 飲酒歴と肝腫大・脂肪肝所見 | 超音波で脂肪沈着、心疾患所見なし |
| Budd-Chiari症候群 | 肝静脈閉塞・急性腹痛 | 画像で肝静脈閉塞、うっ血性心疾患所見なし |
| ウイルス性肝炎 | ウイルスマーカー陽性 | ウイルス抗体検査陽性、心疾患合併なし |
補足事項
うっ血性肝硬変は心疾患のコントロールが最重要であり、肝障害の進行防止には早期対応が不可欠。門脈圧亢進症や肝性脳症など合併症の管理にも留意する。