アナフィラキシーショック
概要
アナフィラキシーショックは、アレルゲン曝露後に急速に発症する全身性の重篤なアレルギー反応であり、血圧低下や呼吸困難など生命を脅かす症状を呈する。原因は食物、薬剤、昆虫刺傷など多岐にわたり、即時の対応が必要となる。迅速な診断と治療が予後に直結する緊急疾患である。
要点
- 急速発症の全身性アレルギー反応
- 血圧低下や呼吸困難などショック症状が主
- 迅速なアドレナリン投与が最重要
病態・原因
IgE依存性または非依存性の機序で肥満細胞や好塩基球からヒスタミンなどのメディエーターが放出されることで、血管透過性亢進、血管拡張、気道平滑筋収縮が生じる。原因としては食物(ナッツ、甲殻類など)、薬剤(抗生物質、造影剤)、蜂刺されなどが代表的である。
主症状・身体所見
突然の蕁麻疹、皮膚紅潮、呼吸困難、喘鳴、咽頭違和感、血圧低下、意識障害などがみられる。消化器症状(腹痛、嘔吐、下痢)や循環不全、気道閉塞など多彩な全身症状が特徴である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血圧・SpO2測定 | 血圧低下、酸素飽和度低下 | バイタルサインの迅速評価 |
| 血液検査 | トリプターゼ高値 | 発症2-3時間以内に採血推奨 |
| 心電図・胸部レントゲン | 異常なし〜低酸素所見 | 鑑別や重症度評価に |
臨床診断は、アレルゲン曝露後の急速な多臓器症状(皮膚症状+呼吸器・循環器・消化器症状)を根拠に行う。トリプターゼやヒスタミン高値は補助的所見である。画像所見は主に鑑別目的。
治療
- 第一選択:筋注アドレナリン(エピネフリン)投与
- 補助療法:酸素投与、輸液、抗ヒスタミン薬、ステロイド投与
- 注意点:再発(二相性反応)に備えた経過観察とアドレナリン自己注射指導
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 敗血症性ショック | 感染徴候・発熱・徐脈 | 感染マーカー上昇、培養陽性 |
| 心原性ショック | 既往歴・心疾患症状 | 心電図異常、心エコー異常 |
補足事項
二相性アナフィラキシー(二峰性反応)に注意し、症状消失後も数時間の観察が必要。アドレナリンの筋注部位は大腿前外側が推奨される。予防には原因アレルゲンの特定と回避、自己注射薬の携帯が重要。