低分子ヘパリン

概要

低分子ヘパリンは、未分画ヘパリンを化学的または酵素的に分解して得られる抗凝固薬である。主に静脈血栓塞栓症の予防や治療、心筋梗塞などの急性冠症候群に用いられる。分子量が低いため、予測しやすい薬効と副作用プロファイルを持つ。

要点

  • 抗凝固作用が主で静脈血栓塞栓症の予防・治療に有効
  • 皮下注射で投与しやすく、用量調整が比較的簡便
  • 出血リスクや腎機能障害時の注意が必要

薬理作用・機序

低分子ヘパリンはアンチトロンビンⅢを介して主に第Xa因子の阻害作用を発揮し、血液凝固カスケードを抑制する。未分画ヘパリンに比べてトロンビン(IIa)阻害作用は弱いが、第Xa因子阻害作用が強い。

禁忌・副作用

活動性出血、重篤な血小板減少症、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)既往例には禁忌。主な副作用は出血、注射部位の皮下出血、まれにHITやアレルギー反応がある。腎機能障害患者では蓄積による出血リスク増大に注意。

適応疾患

疾患薬理作用補足
静脈血栓塞栓症抗凝固作用予防・治療両方に用いる
急性心筋梗塞抗凝固作用急性冠症候群の補助療法

静脈血栓塞栓症や急性心筋梗塞など、血栓形成が関与する疾患の予防や治療に適応される。特に術後や長期臥床患者、心血管イベント発症時に使用される。

薬品例

薬品名主に使われるケース
エノキサパリン静脈血栓塞栓症の予防・治療
ダルテパリン静脈血栓塞栓症の予防・治療
ナドロパリン術後の血栓予防

補足事項

低分子ヘパリンは未分画ヘパリンに比べてモニタリングが不要な場合が多く、外来や在宅医療でも使用しやすい。腎機能障害時には用量調整や慎重投与が必須である。

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