抗インテグリン抗体
概要
抗インテグリン抗体は、インテグリン分子を標的とする生物学的製剤であり、主に炎症性腸疾患の治療に用いられる。細胞接着や炎症細胞の組織浸潤を阻害することで、炎症反応を抑制する特徴を持つ。既存治療で効果不十分な場合の選択肢として重要である。
要点
- インテグリンを標的とした分子標的治療薬
- 主に炎症性腸疾患に適応される
- 既存治療抵抗性例に対する有効性が高い
薬理作用・機序
抗インテグリン抗体は、白血球表面のインテグリン分子(例:α4β7インテグリン)とそのリガンドの結合を阻害することで、炎症細胞の消化管粘膜への移動を抑制する。これにより局所の炎症反応が減弱する。
禁忌・副作用
重篤な感染症(活動性感染症など)を有する患者には禁忌とされる。副作用としては、感染症のリスク増加、過敏反応、注射部位反応、稀に進行性多巣性白質脳症(PML)などが報告されている。
適応疾患
| 疾患 | 薬理作用 | 補足 |
|---|---|---|
| 潰瘍性大腸炎 | 炎症細胞の腸管粘膜浸潤抑制 | 中等症~重症例に適応 |
| Crohn病 | 炎症細胞の腸管粘膜浸潤抑制 | 既存治療抵抗性例に適応 |
抗インテグリン抗体は、主に炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎やCrohn病に対して用いられる。特に従来の免疫抑制薬や抗TNFα抗体で効果不十分な場合の治療選択肢となる。
薬品例
| 薬品名 | 主に使われるケース |
|---|---|
| ベドリズマブ | 潰瘍性大腸炎、Crohn病の中等症以上 |
| ナタリズマブ | Crohn病(特定条件下で使用) |
補足事項
抗インテグリン抗体は、消化管選択的な作用を持つため、全身性免疫抑制作用が比較的少ないとされる。PML発症リスクには十分注意が必要であり、投与前後の感染症スクリーニングが推奨される。