鼓膜炎
概要
鼓膜炎は鼓膜自体に炎症が生じる疾患で、外耳道や中耳の感染、外傷などが原因となる。鼓膜の発赤や腫脹、痛み、難聴を主症状とし、しばしば中耳炎や外耳炎と鑑別を要する。適切な治療により予後は良好だが、重症例では穿孔や聴力障害を生じることがある。
要点
- 鼓膜の発赤・腫脹・痛みを特徴とする
- 外耳炎や中耳炎との鑑別が重要
- 原因除去と抗菌薬・消炎治療が中心
病態・原因
鼓膜炎は主に細菌やウイルス感染、外傷、異物、化学物質の刺激などによって鼓膜に直接炎症が生じる。外耳道炎や中耳炎の炎症が波及する場合も多い。小児や免疫低下例で発症しやすい。
主症状・身体所見
耳痛、耳閉感、軽度難聴、耳漏がみられる。鼓膜の発赤・腫脹・菲薄化や時に水疱形成を認める。重症例では鼓膜穿孔に至ることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 耳鏡検査 | 鼓膜の発赤・腫脹・水疱 | 直接観察により診断の中心となる |
| 細菌培養検査 | 病原菌の同定 | 耳漏があれば採取し感受性試験も実施 |
| 聴力検査 | 伝音難聴 | 難聴の程度や範囲を評価 |
鼓膜炎は主に耳鏡所見で診断される。鼓膜の発赤や腫脹、水疱形成が特徴的。耳漏があれば培養検査で起因菌を特定する。難治例や再発例では基礎疾患や隣接部位の感染も評価する。
治療
- 第一選択:局所・全身抗菌薬投与
- 補助療法:鎮痛薬、耳浴、耳漏管理
- 注意点:鼓膜穿孔時は水分侵入防止、難治例は基礎疾患検索
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性中耳炎 | 鼓膜の膨隆・中耳貯留液 | 鼓膜の可動性低下・中耳陰影 |
| 外耳道炎 | 外耳道皮膚の発赤・腫脹 | 鼓膜自体の所見は軽度 |
| 滲出性中耳炎 | 鼓膜の陥凹・貯留液 | 鼓膜の発赤は目立たない |
補足事項
鼓膜炎は単独で発症することは稀で、外耳炎や中耳炎との関連が多い。原因や重症度に応じて適切な治療と再発予防が重要である。