閉鎖孔ヘルニア

概要

閉鎖孔ヘルニアは、骨盤の閉鎖孔を通じて腹腔内容が脱出する極めて稀な内ヘルニアである。高齢女性に多く、腸閉塞や腸管壊死を引き起こしやすい。診断・治療の遅れが重篤な転帰を招くことがある。

要点

  • 高齢・痩せ型女性に好発し、発症は急性腹症である
  • 腸閉塞や腸管壊死を高率に合併する
  • 早期発見・外科的治療が予後改善の鍵となる

病態・原因

閉鎖孔ヘルニアは、骨盤内の閉鎖孔を通じて小腸などの腹腔内容が脱出することで発症する。高齢、女性、痩せ型、慢性の体重減少などがリスク因子で、閉鎖孔周囲の脂肪組織の萎縮が誘因となる。

主症状・身体所見

絞扼性腸閉塞による腹痛、嘔吐、腹部膨満が主症状である。Howship-Romberg徴候(大腿内側痛)が特徴的だが、必ずしも全例に認められない。腹部所見は非特異的で、診断が遅れることが多い。

検査・診断

検査所見補足
腹部CT閉鎖孔部で腸管の絞扼・腸閉塞像最も有用な画像診断
単純X線腸閉塞像(ガス像・ニボー像など)特異的ではない
超音波検査腸管拡張・液体貯留緊急時の補助診断

CTで閉鎖孔部に腸管が脱出・狭窄される像が診断の決め手となる。Howship-Romberg徴候の有無も診断の参考となる。

治療

  • 第一選択:緊急手術によるヘルニア内容還納と欠損部修復
  • 補助療法:輸液・電解質補正、抗菌薬投与、全身管理
  • 注意点:腸管壊死時は腸切除も検討、診断・治療の遅れに注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
大腿ヘルニア鼠径靭帯下方の腫瘤・女性に多いCTでヘルニア門の部位が異なる
絞扼性イレウス腸閉塞症状・全身状態の悪化原因部位の特定が必要
単純性イレウス絞扼症状・血行障害がない血流障害所見がない

補足事項

閉鎖孔ヘルニアは発症頻度が低く、臨床的に見逃されやすい。高齢女性の原因不明の腸閉塞では本疾患を常に念頭に置く必要がある。腹部CTの普及で診断率は向上している。

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