膝蓋骨骨折
概要
膝蓋骨骨折は膝蓋骨(膝のお皿)の骨折で、直接的な外力や転倒などにより発生する。膝関節伸展機構に重要な役割を持つため、骨折によって歩行や膝伸展が著しく障害される。診断・治療の遅れは機能障害を残すリスクがある。
要点
- 直接打撲や転倒で発生しやすい
- 膝関節伸展障害が重要な診断ポイント
- 治療は保存療法か手術療法を選択
病態・原因
転倒時に膝を強打することや、交通事故などの高エネルギー外傷、膝蓋腱を介した筋肉の強い収縮によって膝蓋骨が骨折する。骨折型は横骨折、縦骨折、粉砕骨折などがある。
主症状・身体所見
膝前面の疼痛と腫脹、膝蓋骨部の圧痛、膝関節の可動域制限がみられる。膝伸展不能(膝を伸ばせない)が特徴的であり、皮下出血や膝蓋骨の段差触知を認めることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| X線単純撮影 | 骨折線・骨片の転位 | 正面・側面で評価 |
| CT検査 | 骨折型・粉砕の詳細評価 | 手術適応や術式選択に有用 |
| 超音波検査 | 軟部組織損傷の確認 | 出血や腱断裂の補助診断 |
X線画像で骨折線、骨片の転位や粉砕を確認し、転位の有無や関節面の不整を評価する。CTは複雑骨折や術前評価に役立つ。膝伸展不能が診断の決め手となる。
治療
- 第一選択:非転位例は保存療法(ギプス固定)、転位例や粉砕例は手術療法(鋼線締結法・スクリュー固定など)
- 補助療法:患部冷却、鎮痛薬、荷重制限、リハビリテーション
- 注意点:早期可動域訓練で拘縮予防、転位残存や癒合不全に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 膝半月板損傷 | 関節内ロッキング・クリック音 | MRIで半月板損傷を確認 |
| 膝蓋軟骨軟化症 | 若年女性に多い・慢性経過 | X線で骨折線なし |
| 大腿骨顆上骨折 | 膝関節周辺の骨折・変形 | X線で骨折部位が異なる |
補足事項
高齢者では骨粗鬆症を背景に発生しやすく、若年者ではスポーツ外傷も原因となる。治療後のリハビリテーションが膝関節機能回復に重要である。