腹壁血腫

概要

腹壁血腫は、腹直筋や腹斜筋など腹壁筋層内に出血が生じ、限局性腫瘤や圧痛、時に急性腹症様の症状を呈する疾患である。抗凝固療法や外傷、激しい咳嗽、手術などが主な誘因となる。多くは保存的治療で軽快するが、時に大量出血やショックに至ることもある。

要点

  • 腹壁筋層内に限局した出血性病変
  • 抗凝固療法や外傷、咳嗽が主なリスク
  • 多くは保存的治療で予後良好だが重症例もある

病態・原因

腹壁血腫は、腹直筋や腹斜筋内の血管損傷により筋層内または筋膜下に出血が生じる。抗凝固薬の使用、外傷、激しい咳嗽、腹部手術や穿刺などが誘因となる。高齢者や動脈硬化、高血圧もリスク因子となる。

主症状・身体所見

突然の腹痛と局所の腫瘤、圧痛、皮下出血斑がみられる。腹膜刺激症状や急性腹症と類似することがあり、腫瘤の触知や皮膚変化が鑑別に有用となることが多い。

検査・診断

検査所見補足
超音波検査筋層内の低エコー性腫瘤迅速な評価が可能
CT検査筋層内の限局性血腫、造影効果出血源・範囲把握
血液検査貧血、凝固異常重症例で参考

画像検査(特に造影CT)は診断・重症度評価に有用であり、急性腹症との鑑別や出血量の評価に欠かせない。超音波検査はベッドサイドで迅速に実施できる利点がある。

治療

  • 第一選択:安静・局所冷却・止血薬投与(保存的治療)
  • 補助療法:輸血、疼痛管理、抗凝固薬中止・調整
  • 注意点:大量出血例では血管塞栓術や外科的止血も考慮

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性腹膜炎腹膜刺激症状が強い画像で血腫なし
腹壁瘢痕ヘルニア立位や腹圧で腫瘤増大画像でヘルニア門確認
腹腔内出血バイタル不安定、腹部全体の膨隆画像で腹腔内液貯留

補足事項

腹壁血腫は高齢者や抗凝固療法中患者で発症しやすく、急性腹症との鑑別が重要である。多くは保存的治療で経過良好だが、ショックや持続出血例では早期に介入を要する。

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