肥大型心筋症

概要

肥大型心筋症は心室筋の異常な肥大を特徴とする心筋症で、主に左心室中隔に非対称性肥厚を認める。遺伝性疾患であり、突然死のリスクが高いことが特徴である。無症状例から重篤な心不全や不整脈を呈する例まで臨床像は多彩である。

要点

  • 左室中隔の非対称性肥厚が典型
  • 若年者突然死の重要な原因
  • 心不全や不整脈など多彩な症状を呈する

病態・原因

主にサルコメア蛋白遺伝子異常による常染色体優性遺伝が原因で、心筋細胞の肥大・配列異常をきたす。左室流出路狭窄や拡張障害、不整脈発生の基盤となる。家族歴や遺伝子変異が重要なリスク因子である。

主症状・身体所見

労作時呼吸困難、動悸、失神、胸痛などがみられる。II音分裂や心雑音(収縮期駆出性雑音)、心尖部拍動の増強が身体所見として特徴的である。無症状のまま経過することも多い。

検査・診断

検査所見補足
心エコー左室中隔肥厚(13mm超)、流出路狭窄心尖部肥大型や対称型も存在
心電図高電位、陰性T波、異常Q波、不整脈心房細動や心室性不整脈もみられる
MRI心筋肥厚、線維化造影MRIで線維化領域が評価可能

心エコーで左室壁厚13mm以上、特に中隔優位の肥厚が診断の中心となる。家族歴、遺伝子検査も診断補助となる。MRIは線維化評価や特殊型の鑑別に有用。

治療

  • 第一選択:β遮断薬または非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬
  • 補助療法:抗不整脈薬、ICD植込み、心不全治療、外科的中隔切除術
  • 注意点:激しい運動の制限、突然死リスク評価と家族スクリーニング

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
拡張型心筋症左室拡大と収縮障害、肥厚は目立たない心エコーで壁肥厚なく拡大顕著
高血圧性心肥大全体的な壁肥厚、家族歴なし高血圧既往と心エコーで分布が異なる

補足事項

若年者突然死の原因疾患として重要であり、スポーツ活動の可否判断や家族歴の詳細聴取が求められる。近年は遺伝子診断やリスク層別化に基づいた個別化治療が進んでいる。

関連疾患