肝芽腫
概要
肝芽腫は主に小児に発生する原発性肝悪性腫瘍で、肝臓の未分化な肝細胞由来の腫瘍である。5歳未満の小児に多く、急速な増大と転移傾向が特徴である。早期診断と集学的治療が予後改善に重要となる。
要点
- 小児に好発する原発性肝悪性腫瘍
- 腫瘍マーカーAFPの著明な上昇が特徴
- 外科的切除と化学療法が治療の中心
病態・原因
胎児期や幼児期の未分化な肝細胞から発生し、細胞分化異常が腫瘍形成の主因とされる。リスク因子として低出生体重児や家族性腫瘍症候群(Beckwith-Wiedemann症候群など)が挙げられる。
主症状・身体所見
腹部腫瘤や腹部膨満が最も多い症状であり、疼痛や食欲不振、体重減少がみられることもある。進行例では黄疸や発熱、転移による呼吸障害も認める。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清AFP | 著明な高値 | 腫瘍マーカーとして有用 |
| 腹部超音波・CT | 肝内腫瘤性病変の描出 | 境界明瞭な腫瘍像 |
| MRI | 腫瘍の性状・血管浸潤の評価 | 手術適応判断に重要 |
組織診断は生検で確定し、腫瘍の病理型分類も行う。画像診断では腫瘍の大きさ、血管や周囲組織への浸潤、遠隔転移の有無を詳細に評価することが重要である。
治療
- 第一選択:外科的切除(可能なら根治切除)
- 補助療法:術前・術後化学療法(シスプラチン主体)、支持療法
- 注意点:肝機能温存、再発・転移例では肝移植や追加化学療法を考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肝細胞癌 | 小児では稀、基礎疾患の有無 | AFP高値だが成人に多い |
| 肝血管腫 | 良性腫瘍、症状軽微 | 画像で典型的血管像 |
| 転移性肝腫瘍 | 原発腫瘍の既往 | 多発結節、AFP上昇なし |
補足事項
近年の化学療法進歩により治療成績は向上しているが、進行例や切除不能例では依然として予後不良例もある。早期発見と集学的治療体制の整備が重要である。