粘液性囊胞腫瘍
概要
粘液性囊胞腫瘍(MCN)は主に膵臓に発生する囊胞性腫瘍で、粘液を産生する上皮細胞と卵巣様間質を特徴とする。中高年女性に多く、悪性化のリスクを有するため慎重な診断と治療が求められる。
要点
- 膵体尾部に多発し、女性に好発
- 粘液産生性で悪性化リスクあり
- 画像診断と病理で確定診断
病態・原因
膵臓の粘液産生上皮と卵巣様間質から発生し、主に女性に多い。ホルモン依存性が示唆されており、発生機序には未解明な点も多いが、膵管との交通は基本的にない。
主症状・身体所見
多くは無症状で偶然発見されることが多いが、腫瘍の増大により腹部膨満感や上腹部痛を呈することがある。大きな腫瘍では圧迫症状や黄疸を来す場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部CT/MRI | 膵体尾部の単房性または多房性囊胞、隔壁を伴う | 壁在結節や石灰化の有無も評価 |
| 超音波内視鏡(EUS) | 囊胞内部の隔壁・結節・内容物の詳細評価 | 穿刺吸引により内容液分析可能 |
| 囊胞液CEA測定 | 高値を示すことが多い | 粘液性腫瘍の鑑別に有用 |
画像所見で膵体尾部に発生し、卵巣様間質の存在や壁在結節の有無を評価する。囊胞液CEA高値や細胞診も診断補助となる。確定診断は病理組織学的検討による。
治療
- 第一選択:外科的切除(膵体尾部切除など)
- 補助療法:経過観察(良性所見かつ小型の場合)
- 注意点:悪性化リスク例では早期切除を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 漿液性囊胞腫瘍 | 蜂巣状・多房性、膵全体に発生 | 囊胞液CEA低値、壁在結節なし |
| 膵管内乳頭粘液性腫瘍 | 膵管拡張・膵管との交通あり | 主要膵管拡張、膵液CEA高値 |
| 仮性囊胞 | 炎症や外傷の既往、壁構造不明瞭 | 囊胞液アミラーゼ高値、上皮構造なし |
補足事項
良性から悪性まで連続的なスペクトラムを示すため、壁在結節や増大傾向、画像所見の変化に注意する。卵巣様間質の存在が診断の決め手となる。