無脾症
概要
無脾症は、脾臓が先天的に欠如するか、著しく発育不全となる先天異常である。主に心血管系や他の臓器の奇形を合併し、免疫機能低下による重篤な感染症リスクが高い点が特徴である。
要点
- 先天的に脾臓が欠如または発育不全となる
- 免疫機能の低下により重篤な感染症を発症しやすい
- 心血管奇形や他の多臓器奇形を高頻度で合併
病態・原因
無脾症は胎生期の脾臓形成異常によって生じる。多くは心血管奇形や内臓逆位などの他の先天奇形と合併し、左右相称性症候群(異形成症候群)の一部として発現することが多い。
主症状・身体所見
重篤な細菌感染症(敗血症、髄膜炎など)が乳幼児期から発症しやすい。心奇形や消化管奇形、呼吸器系異常などの身体所見も認める。脾臓の触知不能や血液検査での異常も診断の手がかりとなる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部超音波 | 脾臓の欠如または著しい低形成 | 他臓器の位置異常も評価 |
| 血液検査 | Howell-Jolly小体の出現、白血球増多 | 末梢血塗抹標本で確認 |
| 画像診断(CT/MRI) | 脾臓の存在確認、心血管・他臓器奇形の検索 | 合併奇形の詳細な評価 |
診断は画像検査で脾臓の欠如を確認し、血液検査で脾機能低下の証拠を得ることで行う。心血管系や他臓器の構造異常も併せて評価する。
治療
- 第一選択:感染予防のためのワクチン接種と予防的抗菌薬投与
- 補助療法:感染症発症時の迅速な抗菌薬治療、定期的な健康管理
- 注意点:発熱時の早期受診指導、髄膜炎菌・肺炎球菌・インフルエンザ菌ワクチン必須
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 多脾症 | 脾組織が複数存在、左右対称奇形合併 | 画像で多発脾組織を認める |
| DiGeorge症候群 | 免疫不全・心奇形・低カルシウム血症 | 胸腺低形成や低Ca血症を伴う |
補足事項
無脾症は乳幼児突然死症候群のリスク因子ともなりうるため、早期診断と感染症対策が極めて重要。家族歴や他の先天奇形の有無も診断の手がかりとなる。