未熟児貧血
概要
未熟児貧血は、主に早産児や低出生体重児にみられる貧血であり、生後数週間から数か月の間に進行する。赤血球産生の未熟、鉄の蓄積不足、採血などによる喪失が主な要因となる。症状は軽度から重度まで多様で、治療は鉄剤投与や輸血が中心となる。
要点
- 早産児や低出生体重児で高頻度に発症
- 赤血球産生能の未熟・鉄不足・採血などが主因
- 治療は鉄剤補充や輸血が中心
病態・原因
未熟児は胎内での鉄蓄積が不十分であり、さらに出生後の赤血球産生能が低いため、貧血を来しやすい。頻回の採血や成長に伴う血液量の増加も貧血を促進する。エリスロポエチン分泌の未熟や栄養状態の影響も関与する。
主症状・身体所見
顔色不良、哺乳力低下、体重増加不良、頻脈、呼吸促拍などがみられる。重症例では無気力や心不全兆候を呈することもある。多くは無症状で経過するが、進行例では全身状態の悪化が目立つ。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血算 | ヘモグロビン値・Ht値の低下 | 正球性正色素性が多い |
| フェリチン | 低値(鉄欠乏合併時) | 鉄欠乏の評価に有用 |
| 網赤血球数 | 低値または正常 | 産生不全が主体の場合に低値 |
診断はヘモグロビン値の低下と臨床経過から行う。鉄代謝指標や網赤血球数で原因の鑑別を進める。画像診断は原則不要だが、重症例や他疾患の除外目的で施行されることもある。
治療
- 第一選択:経口鉄剤投与
- 補助療法:重症例や症状が強い場合は輸血
- 注意点:不要な採血の回避や感染予防、治療中の副作用管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 鉄欠乏性貧血 | 低出生体重児以外でも発症多い | フェリチン・鉄低値 |
| 再生不良性貧血 | 汎血球減少・骨髄低形成 | 網赤血球数著明低下 |
| 溶血性貧血 | 黄疸・脾腫・網赤血球増加 | 間接ビリルビン上昇 |
補足事項
輸血は感染症リスクやアレルギー反応に注意が必要であり、鉄剤治療は消化器症状の副作用に留意する。近年はエリスロポエチン製剤の使用も検討されているが、保険適応や長期予後に関しては議論がある。