放射線急性障害

概要

放射線急性障害は、短期間に大量の電離放射線を全身または一部に被曝した際に発生する障害である。主に細胞分裂の盛んな組織に影響が強く、消化管や造血系障害、皮膚障害など多彩な臨床像を呈する。被曝線量と暴露範囲により重症度や症状が大きく異なる。

要点

  • 急性症状は消化管、皮膚、造血系に多い
  • 線量・被曝範囲により重症度・予後が決まる
  • 治療は支持療法と合併症管理が中心

病態・原因

高線量の電離放射線が短時間に体内へ入ることで、細胞DNA損傷や細胞死を引き起こす。特に分裂の活発な消化管上皮や骨髄、皮膚に障害が現れやすい。原因は原子力事故、放射線治療の過誤、産業・研究現場での事故などが挙げられる。

主症状・身体所見

吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状が数時間以内に出現し、重症例では血液細胞減少による出血傾向や感染症、皮膚の紅斑・水疱・潰瘍などもみられる。全身倦怠感や発熱、脱毛も特徴的である。

検査・診断

検査所見補足
血液検査白血球・血小板減少、貧血骨髄抑制の評価
生化学検査電解質異常、肝腎機能障害全身状態・多臓器障害の評価
皮膚観察紅斑、水疱、潰瘍など被曝部位の局所障害

臨床経過と被曝歴、初期症状の出現時期・重症度、血液所見の推移などから診断する。被曝線量の推定には症状発現までの時間や染色体異常検査も参考となる。

治療

  • 第一選択:支持療法(輸液、感染予防、輸血など)
  • 補助療法:G-CSF投与、抗菌薬、皮膚病変の局所管理
  • 注意点:早期診断と合併症予防、長期的なフォローアップ

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
放射線晩期障害発症が数か月〜数年後線維化・慢性潰瘍など
急性胃腸炎被曝歴なく流行状況あり血液所見に骨髄抑制なし
中毒性腸炎特定薬剤・毒物の摂取歴被曝歴なし、毒素検出

補足事項

放射線被曝の際は、被曝線量評価と早期の専門医受診が重要となる。大量被曝時は多臓器不全や致死的経過となるため、集学的管理が必要となる。

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