夜尿症
概要
夜尿症は、主に5歳以上の小児において夜間睡眠中に無意識に排尿する状態を指す。発達の遅れや膀胱容量の不足、抗利尿ホルモン分泌異常など多因子が関与する。心理的要因や遺伝的素因も関連し、成長とともに自然軽快することが多い。
要点
- 5歳以降も夜間の不随意排尿が持続する
- 原因は多因子性で身体的・心理的要素が関与
- 治療は生活指導と薬物療法が主軸
病態・原因
夜尿症は膀胱容量の発達遅延、夜間抗利尿ホルモン(バソプレシン)分泌の不足、睡眠の深さ、遺伝的素因などが複合的に関与する。精神的ストレスや家庭環境の変化も誘因となることがある。
主症状・身体所見
主症状は夜間睡眠中の不随意排尿であり、日中の排尿異常や身体的異常は通常認めない。まれに便秘や過活動膀胱など他の排尿障害を伴うことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 異常なしが多い | 糖尿病・尿路感染症の除外 |
| 超音波検査 | 膀胱・腎の形態異常なし | 器質的疾患の除外 |
| 排尿日誌 | 夜間排尿パターンの把握 | 治療方針決定に有用 |
診断は5歳以上で月1回以上の夜間遺尿が3か月以上持続する場合に行う。基礎疾患(尿路感染症、糖尿病、奇形など)の除外が必須である。
治療
- 第一選択:生活指導(水分制限、排尿習慣の指導)
- 補助療法:夜尿アラーム療法、デスモプレシン投与
- 注意点:心理的サポートと家族への説明、過度な叱責回避
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 糖尿病 | 多飲・多尿・体重減少 | 尿糖陽性 |
| 尿路感染症 | 発熱・排尿時痛・頻尿 | 尿検査で白血球・細菌陽性 |
| 過活動膀胱 | 昼間の尿意切迫・頻尿 | 昼夜問わず排尿異常 |
補足事項
夜尿症は成長とともに自然軽快する例が多く、家族の理解と協力が重要である。治療抵抗例では心理的評価や二次性夜尿症の鑑別が必要となる。