偶発性低体温症
概要
偶発性低体温症は、外的要因によって体温が35℃未満に低下する状態を指す。寒冷曝露や全身状態の悪化、薬物・アルコール摂取などが誘因となる。重症例では多臓器障害や致死的不整脈をきたす。
要点
- 体温35℃未満で診断され、重症度により症状が多様
- 高齢者や基礎疾患患者、アルコール摂取者でリスク高い
- 迅速な体温測定と適切な加温が救命に必須
病態・原因
寒冷環境への曝露、全身衰弱、低栄養、アルコールや薬物の影響、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、低血糖)などが主な原因となる。体温調節機構の破綻により、産熱低下または熱放散増加が生じる。
主症状・身体所見
軽度では悪寒や振戦、意識障害、不整脈、徐脈、低血圧がみられる。進行すると筋硬直、錯乱、昏睡、心室細動などの重篤な症状が出現する。皮膚は冷感・蒼白で、末梢循環不全を伴うことが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 深部体温測定 | 35℃未満 | 直腸・膀胱温で測定 |
| 血液検査 | 代謝性アシドーシス、高カリウム血症等 | 電解質・血糖・腎機能等 |
| 心電図 | J波(Osborn波)、徐脈、不整脈 | 低体温特有の波形 |
診断は直腸や膀胱での深部体温測定で確定する。心電図ではJ波や徐脈、不整脈が特徴的であり、重症度評価や鑑別に有用。原因検索のため血液検査や画像検査も適宜行う。
治療
- 第一選択:受動的・能動的加温(毛布、加温輸液、加温空気など)
- 補助療法:酸素投与、循環管理、低血糖・電解質異常の是正
- 注意点:急速加温による合併症(再灌流障害、不整脈)に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 甲状腺機能低下症 | 徐脈・低体温・浮腫・便秘 | TSH・FT4低下 |
| Addison病 | 低血圧・色素沈着・低Na・高K | コルチゾール・ACTH異常 |
| 低血糖症 | 発汗・振戦・意識障害 | 血糖値低下 |
補足事項
高齢者や小児、基礎疾患患者では発症に気付きにくく、重症化しやすい。都市型低体温症では室内での発症も多く、社会的背景への介入も重要となる。