エンテロウイルス感染症
概要
エンテロウイルス感染症はエンテロウイルス属(コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルスなど)によるウイルス感染症で、乳幼児から成人まで幅広く発症する。主に経口・飛沫感染し、無症状から重篤な中枢神経症状まで多彩な臨床像を示す。夏季に流行し、集団発生もみられる。
要点
- 夏季に流行し、乳幼児で多くみられる
- 無症状例から重症例(髄膜炎・心筋炎)まで多彩な症状
- 治療は対症療法が中心で、予防には手洗いなどが重要
病態・原因
エンテロウイルスはピコルナウイルス科に属し、主に経口感染や飛沫感染で伝播する。ウイルスは消化管で増殖後、血行性に全身へ波及し、各種臓器に炎症を引き起こす。発症には年齢や免疫状態、ウイルスの血清型が関与する。
主症状・身体所見
発熱、咽頭痛、発疹、下痢、嘔吐などの消化器症状が多いが、無菌性髄膜炎、手足口病、ヘルパンギーナ、心筋炎、脳炎など多彩な臨床像を呈する。乳幼児では高熱や不機嫌、成人では軽症例が多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 咽頭ぬぐい液/便のPCR | エンテロウイルス遺伝子検出 | 血清型同定も可能 |
| 髄液検査 | 髄液細胞増多、蛋白軽度上昇、糖正常 | 髄膜炎例で診断的 |
| 血液検査 | 白血球増多、CRP軽度上昇 | 重症例で補助的 |
エンテロウイルス感染症はPCRによるウイルス遺伝子検出が確定診断となる。髄膜炎例では髄液検査所見が参考となる。臨床経過や流行状況も診断の手がかりとなる。
治療
- 第一選択:特異的治療薬はなく、対症療法(解熱・補液)が基本
- 補助療法:重症例では入院管理、髄膜炎・心筋炎例では循環管理
- 注意点:二次感染予防、手洗い・消毒の徹底
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| ロタウイルス胃腸炎 | 乳幼児で冬季に多い、下痢・嘔吐が主体 | ロタウイルス抗原検出 |
| 感染性腸炎 | 細菌性では血便や高熱が目立つ | 細菌培養・便検査 |
| 急性胃腸炎 | 原因ウイルス多様、症状や流行時期で鑑別 | 原因ウイルスの同定 |
補足事項
エンテロウイルス感染症は集団生活での流行に注意が必要であり、特に乳幼児施設や学校での感染対策が重要となる。重症例では心筋炎や脳炎など生命予後に関わる合併症もあるため、早期診断・適切な管理が求められる。