たこつぼ心筋症

概要

たこつぼ心筋症は、急性の心筋収縮障害を特徴とし、主に強い精神的・身体的ストレス後に発症する。冠動脈の閉塞を伴わず、一過性の左室壁運動異常を示すことが多い。多くは中高年女性に発症し、良好な予後を示すが重篤な合併症も起こりうる。

要点

  • 強いストレス後に発症する一過性心筋障害
  • 冠動脈病変を伴わず心筋梗塞様の症状を呈する
  • 左室心尖部の特徴的な壁運動異常(たこつぼ型)を示す

病態・原因

強い精神的・身体的ストレスが引き金となり、カテコラミン過剰による心筋障害が生じる。冠動脈の器質的狭窄は認めず、交感神経系の異常亢進が主因と考えられる。閉経後女性に多い。

主症状・身体所見

胸痛や呼吸困難など、急性冠症候群と類似した症状がみられる。心電図でST上昇やT波陰転化、軽度の心不全徴候を伴うことがある。ショックや致死的不整脈を呈することも稀にある。

検査・診断

検査所見補足
心電図ST上昇、T波陰転化、QT延長急性心筋梗塞と類似
心エコー左室心尖部の壁運動低下(たこつぼ型)基部は収縮保たれること多い
冠動脈造影明らかな狭窄や閉塞なし冠攣縮の除外も重要

診断は、急性心筋梗塞と区別するため冠動脈造影で明らかな狭窄がないこと、心エコーで特徴的な壁運動異常があること、臨床経過(一過性で可逆的)を根拠とする。心筋逸脱酵素上昇は軽度~中等度。

治療

  • 第一選択:安静・対症療法、β遮断薬やACE阻害薬の投与
  • 補助療法:心不全管理、必要に応じて抗不整脈薬
  • 注意点:再発予防のためストレス管理、ショック時は補助循環を考慮

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性心筋梗塞冠動脈に明らかな閉塞・狭窄を認める冠動脈造影で閉塞あり
拡張型心筋症慢性進行性、心拡大・心不全が主体壁運動異常がびまん性・慢性経過

補足事項

たこつぼ心筋症は一過性で予後良好なことが多いが、心原性ショックや致死的不整脈など重篤な合併症もあるため注意が必要。再発例や非典型例も報告されている。

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