Ménétrier病
概要
Ménétrier病は胃の粘膜肥厚と巨大皺襞を特徴とする希少な疾患で、蛋白漏出性胃腸症の一つ。胃体部を中心に粘膜上皮の過形成と腺窩上皮の増殖がみられ、低アルブミン血症をきたすことが多い。原因は不明だが、TGF-αの過剰発現などが関与すると考えられている。
要点
- 胃粘膜の著明な肥厚と巨大皺襞形成を認める
- 低アルブミン血症を伴う蛋白漏出性胃腸症
- 胃癌への進展リスクが指摘されている
病態・原因
胃粘膜の腺窩上皮(表層上皮)の過形成と腺管の萎縮が主体で、粘液分泌細胞の増殖が顕著。TGF-αの過剰発現やEGFR経路の異常活性化が病態に関与する可能性があるが、詳細な発症機序は未解明。成人例では多くが特発性で、まれにサイトメガロウイルス感染が小児例で関与する。
主症状・身体所見
主な症状は上腹部不快感、腹部膨満感、悪心、嘔吐、体重減少。低アルブミン血症による浮腫や蛋白尿を伴わない浮腫がみられる。消化管出血や胃癌の合併も報告される。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 上部消化管内視鏡 | 胃体部を中心とした巨大皺襞・肥厚 | 粘膜は白色調で表面が粗造 |
| 血液検査 | 低アルブミン血症・低タンパク血症 | 蛋白漏出性胃腸症の指標 |
| 生検 | 腺窩上皮の著明な過形成と腺管萎縮 | 悪性所見の除外が重要 |
診断は内視鏡所見と組織学的所見、低アルブミン血症の組み合わせで行う。画像検査(胃透視)では胃壁の著明な肥厚を認める。鑑別には胃癌や胃悪性リンパ腫などの除外が必須。
治療
- 第一選択:保存的治療(栄養管理、蛋白補充、PPI投与など)
- 補助療法:消化管出血時の止血、浮腫対策、まれにEGFR阻害薬
- 注意点:難治例や癌化リスク例では胃全摘術を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 胃悪性リンパ腫 | 結節状・びまん性病変、腫瘤形成 | 生検でリンパ球浸潤、腫瘍細胞の確認 |
| 進行胃癌 | 不整な潰瘍や腫瘤、壁硬化 | 生検で癌細胞の証明 |
| Cronkhite-Canada症候群 | 多発性ポリープ、色素沈着、爪変形 | 消化管全域のポリープ、皮膚所見 |
補足事項
Ménétrier病は胃癌との関連が指摘されており、定期的な内視鏡フォローが推奨される。小児例はウイルス感染後に自然軽快することがあるが、成人例は慢性経過をとりやすい。