GVHD
概要
GVHD(移植片対宿主病)は、造血幹細胞移植後にドナー由来の免疫細胞がレシピエント(宿主)の組織を攻撃する免疫反応性疾患。主に皮膚、肝臓、消化管など多臓器に障害をきたし、急性型と慢性型に分類される。重症例では生命予後を左右する重要な合併症である。
要点
- 造血幹細胞移植後の代表的な免疫合併症
- 皮膚・肝臓・消化管障害が主な臓器障害
- 急性型と慢性型で臨床像・治療が異なる
病態・原因
GVHDは、主として同種造血幹細胞移植後に、ドナーT細胞がレシピエントの組織を「非自己」と認識し、免疫反応を起こすことで発症する。HLA不適合や免疫抑制不足がリスク因子となる。発症機序は、ドナーT細胞の活性化・サイトカイン分泌・標的臓器障害が中心である。
主症状・身体所見
代表的な症状は、皮膚の紅斑・発疹、下痢・腹痛・消化管出血、肝機能障害(黄疸・AST/ALT上昇)など。急性型では発熱や水疱形成、慢性型では硬化や色素沈着、口腔・眼・肺の乾燥症状もみられる。消化管症状は重篤化しやすい。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 肝酵素上昇、ビリルビン上昇、CRP高値 | 肝障害・炎症反応の評価 |
| 皮膚・消化管生検 | 表皮壊死、リンパ球浸潤、腺萎縮 | 組織学的確定診断 |
| 画像検査 | 消化管壁肥厚、肝腫大 | 臓器障害の範囲や重症度評価 |
診断は臨床症状と経過、組織生検所見を組み合わせて行う。重症度分類(グレード分類)は皮膚・肝・消化管の障害度合いで決定される。画像では消化管壁肥厚や肝腫大を認めることがある。
治療
- 第一選択:全身性ステロイド投与(プレドニゾロン等)
- 補助療法:免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス)、支持療法
- 注意点:感染症リスク管理、免疫抑制薬の副作用対策、再発時の治療強化
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 潰瘍性大腸炎 | 家族歴や自己免疫疾患の合併 | 抗体検査陽性、移植歴なし |
| 偽膜性腸炎 | 抗菌薬使用歴、偽膜形成 | クロストリジウム・ディフィシル検出 |
| Crohn病 | 全消化管に非連続性病変 | 縦走潰瘍、肉芽腫形成 |
補足事項
急性GVHDは移植後100日以内、慢性GVHDはそれ以降に発症する。予防的免疫抑制療法が重要であり、近年は生着片T細胞除去や新規分子標的薬の開発も進展している。