A型肝炎

概要

A型肝炎はA型肝炎ウイルス(HAV)による急性ウイルス性肝炎で、主に経口感染で発症する。感染は衛生環境の悪い地域で多く、急性肝炎症状を呈するが慢性化やキャリア化はしない。予防にはワクチン接種と衛生管理が重要である。

要点

  • 経口感染が主な感染経路で、集団発生しやすい
  • 急性肝炎症状を呈し、慢性化・キャリア化はしない
  • ワクチン接種と衛生管理が有効な予防策

病態・原因

A型肝炎ウイルス(HAV)はピコルナウイルス科に属し、主に汚染された水や食物摂取による経口感染で伝播する。ウイルスは腸管から肝臓に至り、肝細胞に感染し炎症を引き起こす。衛生環境の悪い地域や発展途上国で流行しやすい。

主症状・身体所見

発熱、全身倦怠感、食欲不振、悪心・嘔吐などの前駆症状に続き、黄疸や肝腫大、褐色尿が出現する。小児では無症候性感染も多いが、成人では症状が顕著となる。皮膚掻痒や肝叩打痛を認める場合もある。

検査・診断

検査所見補足
血清AST・ALT著明な上昇急性肝障害の指標
血清IgM-HAV抗体陽性急性期診断の決定打
総ビリルビン上昇黄疸の重症度評価

血清IgM型HAV抗体の陽性が急性期診断に最も特異的であり、発症初期から検出される。肝機能検査でAST・ALTの著明な上昇、ビリルビン上昇がみられる。画像診断は肝腫大や脂肪肝の除外に用いられるが、特異的所見は少ない。

治療

  • 第一選択:対症療法(安静、水分・栄養管理)
  • 補助療法:必要時に輸液、肝庇護薬、二次感染予防
  • 注意点:アルコール・肝毒性薬剤の回避、重症例は入院管理

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
B型肝炎血液・体液感染、慢性化ありHBs抗原・HBc抗体陽性
E型肝炎経口感染、妊婦で重症化HEV抗体陽性、流行地情報

補足事項

A型肝炎は予後良好であるが、高齢者や基礎疾患のある患者では稀に劇症化することがある。流行地域への渡航者やリスクの高い人にはワクチン接種が推奨される。慢性化やキャリア化はないため、長期フォローは原則不要である。

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