高血圧緊急症
概要
高血圧緊急症は、著明な血圧上昇(通常収縮期180mmHg以上または拡張期120mmHg以上)に加え、臓器障害(脳、心臓、腎臓など)が急速に進行する状態を指す。迅速な降圧と臓器保護が生命予後に直結する。
要点
- 急激な血圧上昇と臓器障害の進行が特徴
- 直ちに降圧治療が必要
- 原因疾患や臓器障害の評価が重要
病態・原因
高血圧緊急症は、長期間の高血圧や急激な血圧上昇が血管内皮障害を引き起こし、脳、心臓、腎臓などの標的臓器に急性障害をもたらす。原因としては本態性高血圧の増悪、腎不全、褐色細胞腫、妊娠高血圧症候群などが挙げられる。
主症状・身体所見
頭痛、意識障害、視力障害、胸痛、呼吸困難、乏尿・無尿などがみられる。身体所見として、神経学的異常、眼底出血や乳頭浮腫、心不全徴候、腎機能障害が重要である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血圧測定 | 著明な高血圧 | 収縮期180mmHg以上など |
| 眼底検査 | 乳頭浮腫、出血、滲出 | 高度高血圧性網膜症を示唆 |
| 血液検査 | 腎機能障害、溶血所見 | BUN/Cr上昇、LDH上昇など |
| 心電図・心エコー | 左室肥大、虚血変化 | 心不全や虚血性変化の評価 |
| 画像検査 | 脳出血・脳梗塞、肺水腫 | CT/MRI、胸部X線など |
診断は、著明な高血圧と急性臓器障害(脳症、心不全、腎不全など)の同時存在で下される。眼底検査や画像検査で臓器障害の評価を行う。
治療
- 第一選択:ニトログリセリン、ニカルジピン、ラベタロールなどの静注降圧薬
- 補助療法:酸素投与、利尿薬、臓器障害に応じた支持療法
- 注意点:急激な降圧は脳・心筋虚血を悪化させるため、目標を定めて慎重に降圧
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 高血圧症 | 臓器障害の有無 | 臓器障害がない |
| 悪性高血圧症 | 眼底所見(乳頭浮腫など) | 眼底変化が顕著 |
| 高血圧性脳症 | 神経症状優位 | 頭部画像で脳浮腫 |
補足事項
近年では降圧薬の選択肢が増え、個々の臓器障害に応じた治療アルゴリズムが推奨されている。妊娠や褐色細胞腫など特殊な背景では薬剤選択に注意が必要。