骨髄腫腎
概要
骨髄腫腎は多発性骨髄腫に合併する腎障害で、主に異常な免疫グロブリン軽鎖(Bence Jones蛋白)が尿細管に沈着し、尿細管障害や閉塞を引き起こす。腎不全の主な原因となりうる重篤な合併症である。治療や予後は骨髄腫のコントロールと密接に関連する。
要点
- 多発性骨髄腫の代表的腎合併症
- Bence Jones蛋白尿による尿細管障害が中心
- 早期診断・治療が腎機能温存に重要
病態・原因
骨髄腫細胞が産生する過剰な免疫グロブリン軽鎖(Bence Jones蛋白)が尿細管腔内で沈着し、尿細管の閉塞や炎症、尿細管上皮細胞の障害を引き起こす。高カルシウム血症、脱水、感染、NSAIDsなども病態悪化のリスク因子となる。
主症状・身体所見
腎障害による乏尿・無尿、浮腫、尿毒症症状がみられる。多発性骨髄腫に伴い骨痛、貧血、高カルシウム血症も認められることが多い。蛋白尿は主としてBence Jones蛋白尿でネフローゼ症候群はまれ。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清・尿蛋白電気泳動 | Bence Jones蛋白(免疫グロブリン軽鎖)の検出 | 骨髄腫診断の決め手となる |
| 腎機能検査(Cr, BUN) | 腎機能障害(上昇) | 急性腎不全~慢性腎不全の範囲で変動 |
| 尿沈渣 | 尿細管型、円柱、蛋白尿 | ネフローゼ型蛋白尿は少ない |
Bence Jones蛋白尿の検出が診断の中心であり、腎生検で尿細管内沈着物や尿細管障害像が確認されることもある。画像診断(超音波、CT)で腎腫大や腎石灰化などを認めることがある。
治療
- 第一選択:多発性骨髄腫の化学療法(プロテアソーム阻害薬、免疫調整薬など)
- 補助療法:腎機能支持(補液、電解質管理、透析)、高カルシウム血症対策
- 注意点:脱水・感染・腎毒性薬剤の回避、早期治療介入が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アミロイド腎 | Congo red染色陽性、全身性アミロイド症合併 | 腎生検でアミロイド沈着 |
| 糖尿病性腎症 | 糖尿病既往、持続性アルブミン尿 | 糖尿病性変化・メサンギウム拡大 |
| 急性尿細管壊死 | 薬剤・虚血の既往、可逆性の腎障害 | 尿細管上皮細胞剥離と顆粒円柱 |
補足事項
骨髄腫腎は腎不全の進行が急速な場合があり、血液浄化療法の適応となることがある。腎障害の程度は骨髄腫の活動性や治療反応性と密接に関連し、腎機能回復の可能性もあるため早期介入が重要である。