菌状息肉症
概要
菌状息肉症は皮膚T細胞リンパ腫の一種で、主に高齢者に発症する悪性腫瘍である。皮膚に紅斑、腫瘤、腫瘍など多様な皮膚症状を呈し、進行例では全身症状や内臓浸潤もみられる。ゆっくりと進行するが、進行例では予後不良となる。
要点
- 皮膚T細胞由来の悪性リンパ腫である
- 初期は湿疹様紅斑、進行で腫瘤や腫瘍を形成
- Sézary症候群への移行や全身浸潤に注意
病態・原因
成熟T細胞(主にCD4陽性)由来の悪性リンパ腫で、皮膚に限局して発症することが多い。発症の原因は明確でないが、慢性的な免疫異常や遺伝的素因が関与する可能性が指摘されている。
主症状・身体所見
初期には湿疹様の紅斑や鱗屑、掻痒を伴う皮疹が出現し、進行すると腫瘤や腫瘍(きのこ状病変)を形成する。さらに進行例ではリンパ節腫脹や全身症状、内臓浸潤がみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚生検 | 異型リンパ球浸潤 | 表皮内リンパ球浸潤(Pautrier微小膿瘍) |
| 末梢血検査 | 異型リンパ球出現 | 進行例でSézary細胞確認 |
| 免疫染色 | CD3, CD4陽性 | T細胞表面抗原の確認 |
確定診断には皮膚生検による組織学的検査と免疫表現型解析が必須。進行例では末梢血や骨髄検査も行う。画像検査でリンパ節や内臓浸潤の評価を行う。
治療
- 第一選択:皮膚局所療法(ステロイド外用、光線療法)または全身療法(インターフェロン、抗がん剤)
- 補助療法:保湿・掻痒対策、感染予防、支持療法
- 注意点:進行例やSézary症候群移行時は多剤併用化学療法や造血幹細胞移植も考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Sézary症候群 | 汎発性紅皮症と末梢血Sézary細胞 | 血液中の異型T細胞増加 |
| 乾癬 | 鱗屑と境界明瞭な紅斑 | 皮膚生検で異常T細胞なし |
| アトピー性皮膚炎 | 強い掻痒と慢性湿疹 | 組織学的に悪性リンパ球なし |
補足事項
菌状息肉症は進行が遅いが、進行例では予後が悪くなる。Sézary症候群への移行や二次感染、皮膚バリア障害にも注意が必要。治療法選択は病期によって大きく異なる。