若年性血管線維腫
概要
若年性血管線維腫は、主に思春期前後の男子に発症する鼻咽腔の良性腫瘍である。局所浸潤性が強く、鼻出血や鼻閉などを主症状とする。稀ながら頭蓋内や眼窩内へ進展することもある。
要点
- 思春期男子に好発する鼻咽腔の良性腫瘍
- 鼻出血・鼻閉が主症状で進行例では顔貌変形も
- 局所浸潤性が強く再発率が比較的高い
病態・原因
発症機序は明確ではないが、アンドロゲン依存性の腫瘍とされ、思春期男子に多い。鼻咽腔後部の蝶口蓋動脈領域から発生し、局所への浸潤性が強い。遺伝的素因やホルモンの関与も示唆されている。
主症状・身体所見
反復する大量の鼻出血が最も特徴的であり、鼻閉や鼻腔通気障害も認められる。進行例では顔面腫脹や眼球突出、難聴、頭蓋内症状を生じることもある。視診や内視鏡で赤色〜紫色の腫瘤を確認できる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| CT/MRI | 鼻咽腔から副鼻腔・眼窩・頭蓋内への腫瘤進展 | 骨破壊や腫瘍の広がり評価 |
| 血管造影 | 蝶口蓋動脈からの異常血管増生 | 術前塞栓術の適応判定にも有用 |
画像検査で腫瘍の範囲・進展度を評価し、血管造影で血流支配を確認する。生検は出血リスクが高いため通常行わない。臨床所見と画像所見で診断する。
治療
- 第一選択:外科的切除(内視鏡下手術または開放手術)
- 補助療法:術前血管塞栓術による出血予防
- 注意点:再発リスクがあるため長期フォローが必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 鼻咽腔癌 | 高齢者・進行性症状・リンパ節腫脹 | 組織生検で悪性所見 |
| 鼻ポリープ | 鼻閉主体・出血少ない | CTで骨破壊や造影効果少ない |
補足事項
思春期以降は自然退縮することもあるが、進行例では頭蓋内進展や再発リスクが高く、早期診断・治療が重要である。術前塞栓術の進歩により手術時の大量出血が減少している。