腺腫様甲状腺腫
概要
腺腫様甲状腺腫は、甲状腺の濾胞細胞由来の良性結節性増殖で、最も頻度の高い甲状腺腫大の原因である。多くは無症状で偶然発見されるが、進行例では圧迫症状を呈することもある。甲状腺機能は正常であることが多い。
要点
- 良性の結節性甲状腺腫で最多
- 甲状腺機能は通常正常
- 大きくなると圧迫症状あり
病態・原因
濾胞細胞の過形成や退行変性が原因となり、結節性に甲状腺が増大する。ヨウ素摂取不足や加齢、遺伝的素因が関与することもある。自律性機能を獲得する場合もあるが、多くは非機能性である。
主症状・身体所見
無症状で経過することが多いが、甲状腺前面の腫大として触知される。進行すると嚥下困難や呼吸困難、嗄声などの圧迫症状を呈することがある。甲状腺機能亢進症や低下症はまれ。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 甲状腺超音波 | 結節性腫大、内部に嚢胞や石灰化を認める | 結節の数・大きさ・性状を評価 |
| 血中ホルモン | TSH・FT4・FT3は多くの場合正常 | 機能性結節では異常もあり |
| 甲状腺シンチ | 自律性結節はhot noduleとなることも | 鑑別に有用 |
超音波検査で結節性腫大を確認し、悪性所見の有無を評価する。必要に応じて細胞診やシンチグラフィーを追加する。血中甲状腺ホルモン値は通常正常である。
治療
- 経過観察:無症状かつ機能正常例
- 手術療法:圧迫症状や悪性疑い例
- 薬物療法:甲状腺機能異常例で適応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 甲状腺腺腫 | 単発性結節・被膜明瞭 | 超音波で境界明瞭な単発結節 |
| 橋本病 | びまん性腫大・自己抗体陽性 | 抗TPO抗体・抗TG抗体陽性 |
| 甲状腺癌 | 固い・不整形・リンパ節腫脹 | 超音波・細胞診で悪性所見 |
補足事項
悪性腫瘍との鑑別が重要であり、結節の急速な増大や超音波での異常所見があれば精査を行う。甲状腺機能異常が出現した場合は適切な内分泌治療を考慮する。