腱断裂
概要
腱断裂は筋肉と骨をつなぐ腱組織が完全に切断される外傷で、スポーツや事故、加齢性変性などが主な原因となる。断裂部位や損傷の程度により症状や治療方針が異なる。早期の診断と適切な治療介入が機能回復の鍵となる。
要点
- スポーツや転倒などの急激な負荷で発生
- 断裂部位に応じた症状と機能障害がみられる
- 早期治療が後遺症予防と社会復帰に重要
病態・原因
腱断裂は外力や過度の牽引、慢性的な腱の変性によって腱線維が完全に切断されることで発生する。アキレス腱・腱板・膝蓋腱など、部位ごとに好発年齢や誘因が異なる。加齢や糖尿病、ステロイド使用などもリスク因子となる。
主症状・身体所見
断裂部位に一致した急激な疼痛、可動域制限、力が入らない、陥凹や腫脹、皮下出血などがみられる。自動運動不能や筋力低下が特徴的で、部位によっては歩行困難や挙上障害が目立つ。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 触診・視診 | 陥凹、腫脹、皮下出血、運動障害 | Thompsonテストなど |
| 超音波検査 | 腱の連続性消失、断裂部の腫脹 | 非侵襲的で迅速な評価が可能 |
| MRI | 断裂部の詳細な描出 | 手術適応や部位の特定に有用 |
臨床所見と徒手検査で診断されることが多いが、確定診断や手術計画には超音波やMRIが有用。特に部分断裂や腱板断裂では画像診断が不可欠となる。
治療
- 第一選択:断裂部の縫合手術(手術療法)、保存療法(小断裂や高齢者)
- 補助療法:早期リハビリテーション、固定、鎮痛管理
- 注意点:早期治療で機能障害予防、再断裂防止、適切な運動制限
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 骨折 | 骨の連続性消失、異常可動性 | X線で骨折線 |
| 脱臼 | 関節の位置異常、変形 | X線で位置異常 |
| 筋断裂 | 筋肉部の腫脹・皮下出血 | MRIで筋断裂像 |
補足事項
腱断裂はスポーツ選手だけでなく高齢者にも多く、社会復帰・ADL改善のためにも早期診断・治療が重要となる。再断裂や癒着による可動域制限にも注意が必要であり、リハビリテーションの継続が推奨される。