脳血管攣縮
概要
脳血管攣縮は、主にくも膜下出血後に発生する脳動脈の収縮現象である。これにより脳血流が低下し、遅発性脳虚血や脳梗塞のリスクが高まる。発症時期や重症度によって予後が大きく左右される。
要点
- くも膜下出血後の重篤な合併症
- 遅発性脳虚血・脳梗塞の原因となる
- 早期発見と治療介入が重要
病態・原因
くも膜下出血後の血腫や分解産物が脳動脈壁に作用し、血管平滑筋の異常収縮を誘発する。主なリスク因子はくも膜下出血の重症度や血腫量、治療開始の遅れなどである。
主症状・身体所見
意識障害、片麻痺、失語、構音障害、局所神経症状などが突然出現する。症状は発症4〜14日目に多く、進行すると不可逆的な脳梗塞となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部CT/MRI | 脳梗塞病変、血管狭窄の二次所見 | 脳虚血や梗塞の評価 |
| 脳血管造影 | 血管の狭窄・蛇行・途絶 | 攣縮部位・範囲の直接評価 |
| 経頭蓋ドプラ法 | 血流速度の上昇 | 非侵襲的に攣縮の早期検出 |
診断は臨床症状と画像所見の組み合わせで行う。脳血管造影が最も確定的であり、経頭蓋ドプラ法はベッドサイドでのモニタリングに有用である。
治療
- 第一選択:カルシウム拮抗薬(ニモジピン)投与
- 補助療法:輸液管理・血圧維持・脳血流量増加(トリプルH療法等)
- 注意点:早期治療介入と再出血・水分過剰の回避
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 脳梗塞 | くも膜下出血の既往の有無 | 血管攣縮像の有無 |
| くも膜下出血 | 急性頭痛と意識障害 | 出血像・血腫の有無 |
| 高血圧性脳症 | 血圧急上昇、後頭部優位症状 | 血管攣縮は通常認めない |
補足事項
経頭蓋ドプラ法は連日施行し早期発見に努める。重症例では血管内治療(血管拡張薬注入やバルーン拡張)も検討される。予防的な管理と早期リハビリテーションも重要である。