脚ブロック

概要

脚ブロックは心臓の刺激伝導系のうち、右脚または左脚の伝導障害によって心室の興奮が遅延する状態。心電図で特徴的な波形を示し、無症状から重篤な心疾患の一徴候まで幅広くみられる。基礎疾患の有無や進行度によって臨床的意義が異なる。

要点

  • 右脚ブロックと左脚ブロックに大別される
  • 心電図で特有のQRS波形延長を認める
  • 無症候性も多いが、心疾患のマーカーとなることがある

病態・原因

心臓のヒス束から分岐する右脚または左脚の伝導路に障害が生じ、心室への興奮伝導が遅延または遮断される。原因には虚血性心疾患、心筋症、心筋梗塞、高血圧性心疾患、加齢変化などがある。

主症状・身体所見

多くは無症候性で偶然発見されるが、基礎疾患がある場合は動悸、失神、めまいなどを伴うことがある。身体所見として特異的なものは少ないが、心不全や心筋梗塞の症候を呈することもある。

検査・診断

検査所見補足
心電図QRS幅延長、右脚または左脚特有の波形右脚ブロック:V1でrSR’、左脚ブロック:V5,6で幅広いR波
心エコー心機能・基礎疾患の評価心筋梗塞や心筋症などの合併を検索

心電図でQRS幅が0.12秒以上に延長し、右脚ブロックではV1誘導でrSR’型、左脚ブロックではV5,6で幅広くノッチのあるR波を認める。基礎疾患の有無や進行の有無を心エコーや血液検査で評価する。

治療

  • 第一選択:基礎疾患の治療(虚血性心疾患、心筋症など)
  • 補助療法:症状や不整脈に応じてペースメーカー適応を検討
  • 注意点:無症候性単独脚ブロックは経過観察、進行例や症候性では精査・治療

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
WPW症候群δ波・短PR・発作性頻拍心電図でPR短縮・デルタ波
房室ブロックPQ延長やQRS脱落、徐脈心電図でPQ延長やQRS脱落

補足事項

脚ブロックは経過とともに進行し完全房室ブロックへ移行することもある。左脚ブロックは心筋梗塞や心不全の予後不良因子となるため、基礎疾患の評価が重要。無症候性の場合も定期的な心電図フォローが推奨される。

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