胃軸捻転症
概要
胃軸捻転症は、胃がその長軸または短軸を中心に異常回転し、閉塞や血行障害をきたす急性または慢性の疾患。高齢者や基礎疾患を持つ患者に多く、緊急手術が必要となる場合がある。発症様式によって急性型と慢性型に分類される。
要点
- 胃の異常回転による消化管閉塞と血行障害が主病態
- 急性型は激しい腹痛・嘔吐など急性腹症を呈する
- 画像診断が重要で、緊急手術適応となることが多い
病態・原因
胃軸捻転症は、胃がその長軸(軸捻転型)または短軸(回転型)を中心に180度以上回転することで発症する。原因として、横隔膜ヘルニアや胃の靱帯の弛緩、加齢による支持組織の脆弱化などが挙げられる。
主症状・身体所見
急性型では激烈な上腹部痛、反復する嘔吐、腹部膨満が出現し、嚥下困難や胃内容排出障害もみられる。慢性型では食後の腹部不快感や軽度の腹痛が主となることが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部X線 | 拡張した胃泡、異常な胃の位置 | 胃泡の位置異常が特徴的 |
| 上部消化管造影 | 胃の回転、バリウムの通過障害 | 捻転部位での造影剤停止 |
| 腹部CT | 胃の異常回転、血流障害所見 | 血行障害や壊死の評価に有用 |
診断は主に画像検査(X線、造影、CT)で行い、胃の異常な位置や回転、造影剤の通過障害を確認する。急性型では血行障害や壊死の有無も重要な診断ポイントとなる。
治療
- 第一選択:捻転解除および固定術(外科的整復術)
- 補助療法:胃減圧、輸液、電解質補正、感染予防
- 注意点:壊死例では胃切除、再発予防に固定術や基礎疾患治療
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性胃拡張 | 捻転なく胃が拡張 | 造影で回転像なし |
| 絞扼性イレウス | 小腸閉塞症状とバイタル悪化 | 小腸ガス像・閉塞部位異なる |
| 食道裂孔ヘルニア | 胃の一部が胸腔に脱出 | 造影でヘルニア門明瞭 |
補足事項
高齢者や基礎疾患を有する患者での発症が多く、早期診断・治療が予後を左右する。慢性型では内視鏡的整復も検討されるが、再発例や合併症例は外科治療が推奨される。