肥厚性幽門狭窄症

概要

肥厚性幽門狭窄症は、乳児期に発症する胃の出口(幽門部)の平滑筋が肥厚し、胃内容の通過障害をきたす疾患である。生後2〜8週の男児に多く、非胆汁性嘔吐を主訴とする。適切な診断と外科的治療により予後は良好である。

要点

  • 生後早期に繰り返す噴水様嘔吐が特徴
  • 幽門筋の著明な肥厚が原因
  • 超音波検査で診断、手術で治癒する

病態・原因

幽門部の平滑筋が異常に肥厚し、胃内容物の十二指腸への通過が障害される。発症の明確な原因は不明だが、家族歴や男児での発症頻度が高いことから遺伝的素因が示唆される。

主症状・身体所見

生後2〜8週頃に非胆汁性の噴水様嘔吐が繰り返し出現する。体重増加不良や脱水、便秘を伴うことが多い。腹部触診で幽門部のオリーブ様腫瘤を触れることがある。

検査・診断

検査所見補足
腹部超音波幽門筋の肥厚・幽門管の延長幽門筋厚さ3mm以上が目安
単純X線胃の拡張・ガス貯留胃泡大・腸管ガス減少
血液検査低クロール性低カリウム性アルカローシス脱水・電解質異常

腹部超音波が最も感度・特異度が高く、診断の第一選択となる。診断基準は幽門筋厚3mm以上、幽門管長15mm以上が参考となる。

治療

  • 第一選択:Ramstedt幽門筋切開術
  • 補助療法:輸液・電解質補正による全身状態の安定化
  • 注意点:術前に脱水・電解質異常を十分補正すること

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
新生児胃穿孔・胃破裂急激な腹部膨満・腹膜炎症状X線でfree air、穿孔像
腸重積症血便・周期的激しい啼泣・腹部腫瘤超音波でtarget sign
先天性十二指腸閉鎖症・狭窄症胆汁性嘔吐・double bubble signX線でdouble bubble像

補足事項

近年は腹部超音波による早期診断が普及し、重篤な合併症は減少している。手術成績も良好で再発はまれ。まれに遺伝的要因や環境要因の関与が指摘されている。

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