縦隔炎
概要
縦隔炎は縦隔組織に発生する急性または慢性の炎症であり、主に感染が原因となる。重篤な経過をとることが多く、迅速な診断と治療が必要となる。食道穿孔や胸部外傷、手術後などが主な誘因となる。
要点
- 急速な進行と高い死亡率を特徴とする重篤な感染症
- 食道穿孔や気道損傷、手術後などが主な原因
- 画像診断と迅速な外科的治療が重要
病態・原因
縦隔炎は食道穿孔、気道損傷、胸部手術後などにより細菌が縦隔へ波及し発症する。特に食道破裂(特発性食道破裂など)や外傷、咽頭・口腔からの感染拡大がリスク因子となる。嫌気性菌やグラム陽性球菌、グラム陰性桿菌など多様な菌種が関与する。
主症状・身体所見
発熱、激しい胸痛、呼吸困難、嚥下障害、ショックなどがみられる。頸部腫脹や皮下気腫、敗血症性ショックを呈することもある。急速な全身状態の悪化が特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部CT | 縦隔内のガス像・液体貯留 | 造影により範囲や膿瘍形成を確認 |
| 血液検査 | 白血球増多、CRP高値 | 感染の重症度評価に有用 |
| 細菌培養 | 病原菌同定 | 穿刺液・膿瘍液から採取 |
胸部CTは診断に不可欠で、縦隔内のガス、液体貯留、炎症の広がりを明瞭に描出する。診断基準は臨床症状と画像所見の組み合わせで行う。血液培養や膿瘍液培養で病原菌の同定を図る。
治療
- 第一選択:広域抗菌薬投与と外科的ドレナージ
- 補助療法:全身管理(輸液、栄養管理、呼吸管理など)
- 注意点:早期治療開始と原因疾患の速やかなコントロールが重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 特発性食道破裂 | 嘔吐後の激烈な胸痛、皮下気腫 | 食道造影で造影剤漏出 |
| 縦隔気腫 | 胸痛・皮下気腫だが炎症所見に乏しい | CTでガス像のみ、炎症所見なし |
補足事項
縦隔炎は極めて予後不良な疾患であり、早期診断・治療が生存率向上の鍵となる。食道穿孔などの原因疾患に対する根治的治療も同時に重要である。