神経原性ショック
概要
神経原性ショックは、脊髄損傷や中枢神経障害による自律神経系の機能障害で発症するショック状態である。末梢血管の拡張と心拍出量の低下によって急激な血圧低下をきたすのが特徴。外傷や脊髄疾患の急性期に多くみられる。
要点
- 脊髄損傷などによる自律神経障害が原因
- 末梢血管拡張と徐脈を特徴とする
- 迅速な循環管理・原因治療が重要
病態・原因
主に脊髄損傷(特に頸髄・上位胸髄)や中枢神経疾患によって交感神経の遮断が生じ、血管拡張・心拍数低下が引き起こされる。外傷や脊髄炎、腫瘍などがリスク因子となる。
主症状・身体所見
急激な血圧低下、徐脈、皮膚の温感(四肢温かい)、意識障害などがみられる。発汗低下や四肢麻痺など脊髄損傷に伴う神経症状を伴うことが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血圧・脈拍測定 | 低血圧・徐脈 | 末梢血管拡張による |
| 画像検査 | 脊髄損傷や中枢神経障害の証明 | MRIやCTで病変部位を確認 |
| 血液検査 | 他ショックとの鑑別に有用 | 感染や出血の除外 |
ショックの4型分類のうち、末梢血管抵抗低下と徐脈を伴う点が診断の鍵となる。脊髄MRI/CTで損傷部位を同定し、他のショック(出血性、心原性、敗血症性など)と鑑別する。
治療
- 第一選択:循環血液量の確保(輸液)、昇圧薬(ノルアドレナリン等)、原因疾患治療
- 補助療法:酸素投与、体温管理、呼吸管理、圧迫固定
- 注意点:過剰輸液や不適切な昇圧薬使用に注意、褥瘡・感染予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 循環血液量減少性ショック | 四肢冷感・頻脈 | 出血や脱水の証明 |
| 心原性ショック | 頻脈・冷汗・肺うっ血 | 心電図・心エコーで心機能低下 |
| 敗血症性ショック | 発熱・頻脈・感染巣 | 炎症反応・培養陽性 |
補足事項
神経原性ショックは脊髄損傷急性期に多く、早期の循環動態安定化と二次損傷予防が予後改善に直結する。末梢血管拡張による四肢温感と徐脈は鑑別に有用。脊髄損傷の合併症予防も重要である。