甲状腺ホルモン不応症

概要

甲状腺ホルモン不応症は、末梢組織が甲状腺ホルモンに対して感受性を失う、または低下することにより発症する疾患である。主に遺伝的異常による甲状腺ホルモン受容体の機能障害が原因となる。血中甲状腺ホルモン値が高値でも臨床的に甲状腺機能低下症様の症状を呈するのが特徴である。

要点

  • 甲状腺ホルモン受容体の異常による末梢組織の感受性低下
  • 血中T3・T4高値にもかかわらずTSHが抑制されない
  • 臨床像は甲状腺機能低下症または混合型となる

病態・原因

主にTRβ(甲状腺ホルモン受容体β)遺伝子の異常が原因で、甲状腺ホルモンが正常に作用できなくなる。常染色体優性遺伝形式が多く、家族歴を伴うことがある。まれにTRα異常やその他の分子異常も原因となる。

主症状・身体所見

成長障害、精神発達遅滞、難聴、甲状腺腫、注意欠如多動症状などがみられる。症状は個人差が大きく、甲状腺機能低下症様、亢進症様、または両者混合型となることがある。甲状腺腫大がしばしば認められる。

検査・診断

検査所見補足
血中T3・T4高値または正常TSHは正常~軽度高値
TSH正常~軽度高値負のフィードバック不全
遺伝子検査TRβ遺伝子異常確定診断に有用

血液検査でT3・T4の高値にもかかわらずTSHが抑制されないことが診断の手がかりとなる。確定診断にはTRβ遺伝子変異の同定が必要。画像検査では甲状腺腫大の有無を確認する。

治療

  • 対症療法:症状に応じた支持療法
  • 発達障害への対応:教育的・心理的支援
  • 遺伝カウンセリング:家族歴ある場合に推奨

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
甲状腺機能低下症TSH高値・T3T4低値TSH上昇、T3T4低下
甲状腺機能亢進症TSH抑制・T3T4高値TSH低下、T3T4上昇

補足事項

TRβ異常が大半を占めるが、TRα異常では便秘や骨症状が目立つなど表現型に違いがある。治療は根本的治癒が困難で、症状管理が中心となる。近年は分子標的治療の研究も進んでいる。

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