正中頸囊胞
概要
正中頸囊胞は、頸部の正中線上に発生する先天性の囊胞性疾患であり、舌管遺残が原因となる。小児から若年成人に好発し、感染や腫脹によって発見されることが多い。
要点
- 舌管遺残による先天性囊胞である
- 頸部正中、特に甲状軟骨下に好発する
- 感染や腫脹で疼痛・発赤を伴うことがある
病態・原因
胎生期における舌管の遺残が原因で、舌骨付近から甲状腺の発生に伴い形成される。遺残した舌管の一部が囊胞化し、頸部正中に囊胞を形成する。
主症状・身体所見
頸部正中、特に甲状軟骨下の腫瘤として触知される。嚥下や舌の運動で腫瘤が動くのが特徴。感染時には発赤、腫脹、圧痛を伴い、膿瘍形成や発熱を認めることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 超音波検査 | 頸部正中に嚢胞性腫瘤を認める | 内容物の性状評価に有用 |
| CT/MRI | 嚢胞の位置・範囲、周囲組織との関係を評価 | 舌骨との位置関係が重要 |
| 針吸引・穿刺 | 漿液性または膿性内容液 | 感染時や鑑別時に実施 |
嚥下や舌運動で腫瘤が移動することが診断の手がかりとなる。画像検査で嚢胞の位置・大きさ・舌骨との関係を確認し、悪性腫瘍やリンパ節腫脹との鑑別も重要。
治療
- 第一選択:シストトミー(囊胞摘出術、Sistrunk法)
- 補助療法:感染時は抗菌薬投与、膿瘍形成時は切開排膿
- 注意点:再発予防のため舌骨中央部も含めて切除
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| リンパ節炎 | 発熱・圧痛・可動性良好 | 超音波で嚢胞性でないこと |
| 甲状腺腫瘍 | 嚥下で腫瘤が動くが舌運動で動かない | 甲状腺シンチグラフィ等で区別 |
補足事項
成人例では悪性化(乳頭癌など)の報告もあり、固い腫瘤や急速な増大には注意する。再発防止には舌骨中央部の切除が重要である。