機能性卵巣囊胞

概要

機能性卵巣囊胞は、卵巣の生理的周期に伴って発生する良性の囊胞性病変である。多くは無症状で自然消退し、婦人科診療で偶発的に発見されることが多い。ホルモン分泌異常や排卵障害が背景に存在することがある。

要点

  • 卵巣の生理的変化により形成される良性囊胞
  • 多くは無症状で経過観察が基本
  • 稀に茎捻転や破裂などの合併症に注意

病態・原因

卵巣の排卵周期に伴い、卵胞や黄体が過剰に発達し液体が貯留することで発生する。ホルモンバランスの乱れや排卵障害がリスク因子となる。閉経前の女性に多くみられる。

主症状・身体所見

多くは無症状であるが、大型化すると下腹部痛や圧迫感を生じることがある。囊胞の茎捻転や破裂時には急性腹症を呈する場合がある。

検査・診断

検査所見補足
経腟超音波単房性囊胞、薄い壁構造内部に充実性成分や隔壁を認めない
血中腫瘍マーカー基本的に正常CA125, CA19-9等は悪性腫瘍との鑑別用

超音波検査で単純な囊胞構造を認め、充実成分や隔壁、異常血流がなければ機能性卵巣囊胞と診断する。経過観察で自然消退が多く、悪性所見の有無が重要となる。

治療

  • 第一選択:経過観察(自然消退を期待)
  • 補助療法:ホルモン療法(月経異常や再発例で考慮)
  • 注意点:茎捻転や破裂など急性腹症時は外科的対応

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
黄体囊胞黄体期に発生、出血傾向あり超音波で分厚い壁や出血像
卵巣腫瘍充実成分・隔壁・血流増加腫瘍マーカー上昇・複雑構造

補足事項

機能性卵巣囊胞は閉経後にはまれであり、閉経後女性で囊胞性病変を認めた場合は悪性腫瘍の除外が必須となる。多くの場合、数か月以内に自然消退するが、再発を繰り返す場合はホルモン療法を検討する。

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