横隔神経麻痺

概要

横隔神経麻痺は横隔神経の障害によって横隔膜の運動が低下または消失し、呼吸機能障害を呈する疾患。原因は外傷、腫瘍、手術、感染、特発性など多岐にわたる。片側性と両側性で臨床症状や重症度が異なる。

要点

  • 横隔膜の運動障害による呼吸困難や起坐呼吸が主症状
  • 原因は神経損傷、腫瘍、炎症、特発性など多様
  • 画像診断や神経伝導検査で確定診断

病態・原因

横隔神経は頸髄C3~C5から起こり、横隔膜の運動を支配する。外傷(頸部手術、胸部手術、交通事故)、腫瘍(肺癌、縦隔腫瘍)、感染、炎症、特発性(原因不明)などで神経障害が生じる。両側性では重篤な換気障害をきたす。

主症状・身体所見

労作時呼吸困難、起坐呼吸、夜間の呼吸障害、咳嗽力低下がみられる。片側性では無症状の場合もあるが、両側性では重度の呼吸不全や睡眠時無呼吸となることもある。胸部の動きや腹式呼吸の消失が特徴的。

検査・診断

検査所見補足
胸部X線・CT横隔膜の挙上、運動低下透視下で呼吸性運動評価も可
横隔膜超音波横隔膜の動き低下または消失非侵襲的で有用
神経伝導検査横隔神経伝導の遅延や消失原因診断・重症度評価

胸部画像で横隔膜挙上や運動の消失を確認する。透視や超音波で呼吸時の横隔膜運動を観察できる。神経伝導検査や筋電図で神経障害の有無を評価し、原因検索のためにCTやMRIで腫瘍や解剖学的異常を除外する。

治療

  • 原因治療:腫瘍切除、感染治療、原因薬物の中止など
  • 保存的治療:呼吸リハビリテーション、酸素投与
  • 外科的治療:横隔膜縫縮術(重症例)
  • 注意点:両側性では非侵襲的換気補助や人工呼吸器管理が必要となる場合がある

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
横隔膜ヘルニア消化管臓器の胸腔内逸脱画像で臓器移動を確認
麻痺性イレウス腸管運動低下による腹部膨満腹部X線でガス像
肺不全呼吸障害だが横隔膜運動は保たれる呼吸機能検査・血液ガス分析

補足事項

小児では先天性や分娩時損傷が原因となることが多い。慢性経過の場合は代償機構が働き症状が軽微なこともある。両側性麻痺は生命予後に直結するため早期対応が重要。

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